中国で習近平・共産党総書記をトップとする指導部が誕生してから、やがて2カ月。この国がどこに向かおうとしているのか、新指導部の一挙一動を世界が注視しているといっていい。広東省の有力週刊紙「南方週末」をめぐる騒動は、一つの試金石だろう。
発端は3日付の記事だ。もともとは憲法に基づく政治の実現を訴えていたが、記者たちが知らないうちに「中華民族の偉大な復興」というスローガンを唱える内容にすり替えられたという。
共産党政権にわりあい批判的な同紙に対し、メディア統制を担当する共産党の宣伝部門はしばしば干渉してきた。今回の記事すり替えはとりわけ粗暴で、掲載された記事には誤りも目立った。
記者たちがネットなどを通して抗議しストライキまで示唆したのは、我慢も限界に来たのだろう。一党独裁体制の下で異議の声を上げた彼らの勇気をたたえたい。
事情を知った一部の市民が言論の自由を訴えてデモをくり広げたのも、日ごろの情報統制への不満が表面化したといえる。
ネットの時代には情報統制が難しいことも、改めて浮き彫りになった。内外の関心の高まりもあって、当局は記者たちに一定の譲歩を示し事態は収束に向かいつつあるようだ。これを機に言論統制の撤廃に踏み出すよう望む。
ただ、楽観はできない。デモ参加者の一部を当局は拘束し、暴行を加えたとさえ伝えられる。共産党政権に近い新聞は言論統制を正当化する社説を掲載し、宣伝部門はこの社説の転載を他の新聞に指示して新たな反発を招いている。醜悪というよりほかはない。
別の事件も起きている。開明的な知識人が結集して発行している雑誌「炎黄春秋」のサイトが、閉鎖を余儀なくされたのだ。
就任して間もなく、習総書記は「共産党は憲法と法律の範囲内で活動すべきだ」と呼び掛けた。そして中国の憲法は言論の自由を明記している。習総書記と共産党政権の言行一致が問われている。
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