［事件］証券アナリストら２人逮捕　水増し増資の疑い　大阪府警（2012.11.29 09:43）

　ジャスダックに上場していた不動産販売会社「セイクレスト」（大阪市中央区、破産手続き中）が山林の現物出資を受けて水増し増資をした事件で、大阪府警捜査２課などは２９日、金融商品取引法違反（偽計）容疑で、証券アナリスト、松尾隆容疑者（６７）＝東京都荒川区＝と、セ社の元社長、青木勝稔容疑者（４９）＝大阪府吹田市＝の２人を逮捕した。

　府警は、２期連続の債務超過に陥る恐れがあったセ社が上場廃止となるのを回避しようと、松尾容疑者が主導して水増し増資を計画したとみて証券取引等監視委員会と合同で経緯を調べている。

　逮捕容疑はセ社が平成２２年２月、松尾容疑者が実質的に経営する福島県郡山市の不動産会社「合同会社カナヤマ」を引受先として、和歌山県白浜町の山林１１筆（約８万４千平方メートル）の現物出資による第三者割当増資を実施すると公表。この際、本来は山林には２０億円の価値がないのに、不動産鑑定士の鑑定や弁護士の証明によって適正な評価額であるように装い、増資額を水増ししたとしている。

　セ社は３年に設立され、１６年にジャスダック上場。１９年３月期には約４８億円を売り上げたが、２０年９月のリーマン・ショックによる不動産不況などで経営不振に陥り、昨年５月に大阪地裁に破産を申請した。