記者日記:消防局ミステリー /大分
毎日新聞 2012年12月31日 地方版
大分市消防局中央消防署で盗まれたとされる防火服が発端の恐喝未遂事件。容疑者の男は身内の人間で、局内の管理態勢にも疑問符が付くが、28日深夜に始まった記者会見が未明まで“紛糾”したのは、防火服が盗まれたのか否かすら局が把握していなかったからだ。
藤井利明・消防局参事によると、始まりは09年11月、消防局への電話と封書。防火服の写真とともに組織の管理責任を問う文が入っていた。10年2月には今回の容疑者とは別の男が防火服を持ち込み「ある人に頼まれて来た。本物かどうか確認したい」。局は本物と確認したが「ネットオークションで購入したとのことで所有権があちらにあり、返せと言えなかった」。その後も責任を問うメールが複数回届いたが「恐喝ではない」と県警に届け出なかったという。
消防局は当時、内部調査したが、防火服の管理が元々ルーズで、「紛失自体確認できなかった」のだそうだ。
マニア垂涎の的でネットでは結構な値段で取引される防火服。市民の疑念がくすぶらぬよう、火元はしっかりチェックして新年を迎えていただきたい。【土本匡孝】