スマイル写真館:ラジオで闘病、就活を報告 小熊俊雄さん

毎日新聞 2013年01月08日 東京朝刊

 ◇「一人ではない」伝えたい−−小熊俊雄さん(34)

 統合失調症の当事者が作るネットラジオ「こころらじお」を06年に仲間と始めた。半年に1回ペースの放送で、企画から構成、出演までこなす。恋愛、仕事、育児などをテーマに、時には自殺未遂の体験も、笑いを交えて伝える。12年3月には活動が、精神障害者の社会参加のための活動を表彰する「リリー賞」(コンボ主催)を受賞。「一人で病気と闘う人に、『あなたは一人ではない』と伝えたい」

 北海道の大学で生物を学び、大学院の修士課程を修了。大学在学中に就活失敗のショックなどから統合失調症を発症した。頭の中で誰かが命令する声が聞こえる症状もあったが、服薬と周囲の協力で乗り切れた。

 しかし、大学院を出て東京の実家に戻ると気力が低下し、寝たきりのような生活に。2年後、父の脳内出血をきっかけに「家族が崩壊する」と危機感を持ち、日雇いの派遣会社に登録。時間はかかったが、紳士服の販売もこなせるまでに回復。この時期、当事者サークルの仲間と「何か面白いことをしよう」と、ラジオを始めた。

 働き始めて3年後、東京都昭島市で障害者の就労をサポートするNPO法人「チャレンジドステーションクジラ」の支援を受け、就活を始め、パソコンの資格も取った。厚生労働省が障害者の就労促進のために実施する「チャレンジ雇用」で採用された。仕事はデータ集計や資料作成など。職場や家族の協力もあり、無欠勤で2年間勤め上げた。

 厚労省での体験を武器に再び就活し、10年春に八王子市の医療サービス会社「エスアールエル」に障害者雇用の嘱託職員として就職。3年以上まじめに勤務すれば正社員の登用試験が受けられる。間もなく入社から3年を迎える。

 ラジオでは、派遣から徐々にステップアップする就活の様子をリアルタイムで報告してきた。リスナーからは「あなたが正社員になるのがみんなの夢」という応援メールも届く。「一度はあきらめた仕事や結婚も、今はあきらめていない。どんなことも明るく話せる仲間が心の支え。人と話すことで新しい道が見えてくる」【山寺香】=次回は2月5日掲載

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 「メンタルヘルスマガジンこころの元気+」表紙の読者モデルを紹介します。発行・NPO法人地域精神保健福祉機構電話047・320・3870 http://comhbo.net

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