【トロント、ニューヨーク=共同】自己認識能力など高い知能を持つ類人猿オランウータンに、米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」を使わせる試みが世界各地の動物園で行われている。米ニューヨークの非政府組織(NGO)がオランウータンの知能や好奇心を試すために発案。「オランウータンが他の個体や人間とビデオチャットで意思疎通できる日が来るかも」と夢見ている。
「おいで。アイパッドの時間だぞ」。カナダのトロント動物園で、世話係のマット・ベリッジさん(36)が声を掛けると、6歳の雄ブディが駆け寄ってきた。
他のオランウータンの写真やビデオを見せると、画面を眺めたり、指で触ったり。ベリッジさんは「大のお気に入りは、アニメや他のオランウータンのビデオ。すごく関心を示す日もある」と説明する。
「類人猿のためのアプリ」(AFA)活動を約1年前に始めたのは、NGO「オランウータン・アウトリーチ」代表のリチャード・ジマーマンさん(42)。寄付された中古アイパッドを動物園に貸与し、オランウータンがお絵描きやカードめくりなどのアプリにどう反応するかを探っている。
トロント動物園ではアイパッドを使い、インターネット電話「スカイプ」などのビデオチャットも試している。
ジマーマンさんがスカイプでブディと「対面」した際、ブディはまず画面の中のジマーマンさんを手で触り、次にそばにいたベリッジさんの顔を触った。
ジマーマンさんは「ブディは私の顔をきちんと認識していた」と目を輝かせるが、研究に参加するカナダのヨーク大のマクドナルド准教授(動物行動学)は「ブディたちがスカイプを通じて他の個体や人間を認識しているかは、はっきりしない」と慎重な意見だ。
AFAには米国やカナダなどの13の動物園が参加する。ベリッジさんは「繁殖目的で他の動物園に引っ越す際、相手との相性を見るためにスカイプで『お見合い』が可能になるかも」と指摘。ジマーマンさんは「唯一の生息地であるボルネオ島とスマトラ島ではすごい勢いで熱帯雨林が消失し、オランウータンが絶滅しかかっている。われわれの活動で少しでも関心が高まれば」と期待する。
一方、AFAには参加していないものの、日本でも同様の研究が行われている。
京大野生動物研究センター特別研究員の久世濃子さん(36)らのチームは名古屋市の東山動物園で昨年夏、オランウータンにアイパッドのお絵描きアプリを使わせる研究を始めた。
久世さんは「オランウータンとチンパンジーは鏡に映った自分や他の個体を認識できる」と説明。今後、スカイプを使い、離れた場所にいる個体に自分が見られていることを意識しながらオランウータンがどう行動するかについても実験したい考えだ。
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