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2010年代、韓国サムスンはなぜ、日本の競合を負かしたのか:その成功要因とは

新ベンチャー革命2013110日 No.708
 
タイトル:2010年代、韓国サムスンはなぜ、日本の競合を負かしたのか:その成功要因とは
 
1.日韓企業競争で日韓の明暗が拡大
 
 マスコミ報道によれば、韓国サムスン電子の2012年度売上16兆円、営業利益2.3兆円と、ものすごい好業績を上げているようです(注1)。
 
 一方、サムスン電子と競合する日本のパナソニック、ソニー、シャープはいずれもリストラ真っ最中で、前代未聞の苦境です。日韓企業間での明暗差がこれほど目立ったのは今回が初めてでしょう。
 
 なぜ、これほど日韓企業の明暗が際立っているのか、日本国民の誰もが疑問をもつはずです。
 
2.サムスンの成功要因とは
 
 サムスンに関しては、多くの本が出されて、世界中から注目されています。日本の企業人も、サムスンの成功要因を知りたがっているでしょう。
 
 筆者はかつてサムスンのコンサルを経験しており、サムスンとの縁が一定程度ありましたので、その経験に基づいてサムスンの成功要因を探ってみます。
 
結論から言うと、サムスンの成功要因は以下の二つにまとめられます。
 
(1)サムスン会長・イーゴンヒの意思決定力の強さ
(2)日本企業のMOT(技術経営)と米国企業のMOTの良いとこ取り(日米MOTのハイブリッド化)
 
3.日本企業も創業者活躍の時代には強かった
 
 現在のサムスンは創業者の二代目イーゴンヒが牛耳っており、彼の意思決定力が極めて優れています、結果的に、イーゴンヒはサムスンでカリスマ化しており、組織の統率力も抜群です。この状態は、パナソニック、ソニー、シャープの創業者主導時代(60年代から80年代)と同じです。違いと言えば、(1)60年代から80年代の日本は工業化社会であり、技術投資の意思決定におるリスクは今より低かったのに対し、2010年代の今は、日韓ともに脱工業化社会であり、技術投資の意思決定におけるリスクが極めて高いと言えます。もうひとつ、(2)今の方が、グローバル競争の競争相手が手ごわくなっている点でしょう。
 
 2010年代、サムソンと競合する日本企業の多くは、創業者による経営ではなく、サラリーマン上がりの経営者となっていますが、現在は、昔に比べて技術投資リスクが非常に高くなっており、サラリーマン型経営者の能力では到底、リスクテイクできない状況です。一方、サムスンはまだ創業者二代目のパワーが残っており、ハイリスクの意思決定に対応できているわけです。
 
 ハイリスク企業競争時代に、リスクテイクの苦手なサラリーマン型経営者を充てるチグハグな日本企業がサムスン(ハイリスク対応力のある経営者が主導)に勝てるはずがないのです。
 
 ちなみに、イーゴンヒが亡くなった後のサムスンは、場合によっては、今の苦境の日本企業と同じ運命になる可能性もあります。
 
4.サムスン会長イーゴンヒの目の付け所がよかった
 
 イーゴンヒ(注2)は、早稲田大卒であり、そのあと、米国ジョージワシントン大卒となっています、そのせいでイーゴンヒは日米比較の視点をもっています。そして、早稲田留学時代に日本人学生からいじめられて、日本人への敵愾心が半端ではありません。その意味でサムスンは韓国人の対日感情を巧みに利用しています、日本人だけには絶対に負けないぞという対日敵愾心を鼓舞するわけです。
 
 筆者は1986年より2003年まで米国シンクタンク・SRIインターナショナルにてMOTコンサルタントを務めていましたが、91年から93年にかけて、『テクノロジーマネジメント』、『中長期技術戦略プランニング・ガイド』、『技術投資評価法』の三部作を出版しています。いずれも単価55千円で、日本能率協会マネジメントセンターが企業向けに売る高額本であり、本屋の店頭では売らない専門書です。
 
 この当時、拙著三部作にもっとも興味を持ったのが、サムスンの技術戦略部門であり、拙著を韓国語に翻訳して学習していました。なぜ、サムスンが拙著に興味を持ったかというと、米国型MOTを日本企業に応用する著作だったからです。ところが、90年代前半当時、多くの日本企業は傲慢になって、米国型MOTをバカにする傾向がありました。ただし、東芝はGEという米国企業の影響を強く受けていたので、拙著をテキストに、筆者は94年から8年間、東芝のMOT講師を務めました。
 
 拙著の影響かどうかは別にして、サムスンは90年代半ばから、日本型MOTの後追いを止めて、米国型MOTにダイナミックにMOTの切り替えを断行しています。これに伴って、日本に留学していたエリート社員をリストラし、米国に留学していた韓国人を大量に雇用して、人材の大幅入れ替えが行われています。
 
 この90年代半ばから後半にかけての日本型から米国型へのMOT体制のチェンジに、今日のサムスンの成功要因が潜むと思われます。
 
5.韓国学生も敬遠するサムソンの徹底した成果主義
 
 90年代後半、サムスンの経営幹部は米国留学組に置換され、米国型成果主義が導入されています。多くの韓国技術企業は日本型MOTに近い経営スタイルが多いのですが、サムソンは厳しい成果主義にチェンジしたため、韓国学生から敬遠される傾向があると聞いています。
 
 2000年代、日本企業の多くも成果主義を導入していますが、必ずしもうまく行っていません。たとえば、サムソンのライバル・ソニーも成果主義を導入したのですが、その副作用も半端ではありませんでした。ソニーのMOT幹部だった土井氏はソニーの成果主義の批判をされています(注3、注4)。
 
 なぜ、サムスンの米国型成果主義は奏功したのでしょうか、その答えは簡単です、人を入れ替えたからです。90年代半ば、それまでサムスンのエリートだった人(日本留学組など)をリストラして、米国留学組韓国人に取り換えたのです。終身雇用ベース(人を大事に育てる社風)の日本企業が到底、マネできないことを断行したということです。
 
6.サムスンは米国企業や米国大学では常識の成果主義を断行しただけ
 
 筆者は、16年間、日本企業IHIでエンジニアとして働き、その後、16年半も米国SRIにてプロフェッショナルとして働いてきましたから、日米企業の人事制度の違いを肌で体験しています。日本企業しか経験していないエリートにはこの違いを実感することは非常に困難でしょう、そのことは、上記、土井氏の発言からうかがわれます(注4)
 
 サムスンは90年代半ばまで、日本MOT企業をモデルにしていたのに、90年代半ばから後半にかけて一挙に、米国型の厳しい人事制度に大胆チェンジしたのですから、サムスン社員への衝撃は想像を絶するほどすさまじかったはずです。
 
7.サムスンの成功要因は日米企業の両体験者しかわからないかも
 
 サムスンが導入した成果主義は米国企業や米国大学で普通に行われているものと同じです。米国でも先進企業や一流大学ほど、この成果主義が徹底されています。なぜなら、彼らは世界中からいくらでも優秀な人材をリクルートできるからです。
 
 また、米国の先進企業や一流大学の人材は、仮にそこで競争に負けても、引手あまたですから、辞めることに抵抗は少ないのです。この方式はカスケード方式と呼ばれます。敗者はおのれのレベルに応じて、段階的に落ちていくことになります、ここには過去の実績も既得権益も存在しません、あるのは現在の成果のみです。常に、背中に短刀を突き付けられている状態に等しいのです。
 
 おそらく、サムスンもこのような挑戦型人材のローテーション(好循環)がうまく回り始めたと思われます。こうなると世界中から有能人材が確保できるのです、その結果、正社員にとって居心地のよい能天気・日本企業はますます、差をつけられるわけです。
 
 サムスンとて、簡単に、好循環パターンを手に入れたわけではなく、ここまで来るのに10年以上を要しています。ただサムスンにとって、一瞬先は闇ですから、一時の油断も許されないでしょう。
 
 このような状況はプロ野球選手と同じで長続きしませんから、サムスン社員の入れ替わりも激しいと思われます。雇われる人間にとってサムスンは決して居心地が良いとは言えないと思います。サムスン社員はみんな、人間の幸せとは何かを考えざるを得なくなるでしょう。
 
注1:読売新聞“サムスン、営業利益2兆円超・・・スマホ販売好調で”201318
 
注2:李健煕
 
注3:土井利忠
 
注4:ベンチャー革命No.165『米国大学は研究に不向き?』200561
 
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