ピストバイク:東京都、一般販売禁止へ 2月に条例案提出
毎日新聞 2013年01月11日 20時34分(最終更新 01月11日 21時07分)
重大事故の危険があるとして公道走行が禁止されているブレーキのない競技用自転車(ピストバイク)について、東京都は2月定例議会に、全国で初めて一般販売を禁止する「自転車条例案」を提出する。罰則は設けないが、違反を繰り返す業者は都のホームページなどで公表するとしている。
ピストバイクは近年、自転車の軽量化やファッション性を求める若者の間で流行。道路交通法はブレーキを装備していない自転車の公道走行を認めておらず、警視庁によると摘発は09年の2件から、10年は661件、11年は1023件と急増している。
これまで販売に関する規制はなかったが、都は条例案でインターネット販売を含む小売業者に対し、競輪場などで利用する場合以外の販売禁止規定を盛り込む。また、自転車購入者に事故に備えた損害保険加入を求める努力義務も課す。
さらに放置自転車対策として、従業員が自転車通勤する場合に、どこを駐輪場所にしているかの確認を企業などに義務づける。全国初の取り組みで、事業者は従業員用の駐輪場を確保するか、スペースがない場合は従業員に駐輪場所を書面で提出させねばならない。
一方、条例案を検討していた都の専門家会議では、マナー向上などを目的にした自転車のナンバープレート表示や、購入時のデポジット(預け金)制度導入が提言されたが、今回は盛り込まず検討を続けることにした。都は今夏以降の施行に向け今月15〜25日、都交通安全課のホームページで条例案について意見を募集する。【佐々木洋、馬場直子】
NPO法人「自転車活用推進研究会」の小林成基理事長(63)の話 都が自転車の安全利用に関心を持つ姿勢は評価できるが、「都が安全に走れる環境を提供する」との前提を明示すべきだ。自転車の販売については「安全基準を満たしたものしか売ってはいけない」と踏み込んでほしい。自転車通勤については、事業者に負担を求めるだけで支援策を取らないと、自転車通勤が禁止される事態にもなりかねない。