北の工作員 特殊暗号駆使、国内で暗躍
産経新聞 1月11日(金)7時55分配信
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隠語表を使った文例(写真:産経新聞) |
日本で生まれ育った男の裏の顔は、スパイ映画さながらの暗号を操る北朝鮮のエリート工作員だった。吉田誠一容疑者の押収パソコンからは、文書データを画像データに置き換える北仕様の特殊暗号化ソフトも見つかり、工作員が暗躍する実態が生々しく浮かんだ。
平壌は「父」、北京は「母」、防衛省は「京都大」、自衛隊は「大阪大」。吉田容疑者が北の軍関係者らとやり取りした英語のメール文面には、父母兄弟や大学名の名詞が不自然な形で使用されていた。いずれも本来の意味を置き換えた工作員間の隠語で、約半年から1年の期間で変えていたとみられる。
吉田容疑者のパソコンにはデータ隠蔽(いんぺい)技術「ステガノグラフィー」も搭載され、プログラムを作動させると、文書ファイルが雪山などの画像データに“化ける”仕組みだったという。
府警によると、吉田容疑者は朝鮮大学校在学中に非公然組織「学習組(がくしゅうそ)」のメンバーに認定されたエリート中のエリート。捜査関係者は「学生のうちから入るのは珍しい。語学堪能で分析力がある」とみている。
吉田容疑者は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙の編集に携わった後、日本国籍を取得。経歴を伏せて北朝鮮情報を取り扱う民間団体や国立大大学院などに潜入し、脱北者情報や日本の軍事関連情報の収集にあたっていたことがすでに判明している。
最終更新:1月11日(金)8時43分