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内閣府の共生社会政策・・誰もが暮らしやすい社会を創る

内閣府の政策に「共生社会」というものがあることを知ってますか?
その中の障害者施策の項目に、「誰もが暮らしやすい社会を創る」とある。
http://www8.cao.go.jp/souki/index.html

障害者が自立した生活を送る上で欠かせないのが、生活基盤の安定である。
滋賀県の障害者(精神、知的、身体)授産施設等の平均工賃月額は、13,049円で全国23位。お隣の福井県は16,621円で全国1位。
また、ハローワークを通じた就職率は、43,1%で全国33位。福井県は65.5%で全国2位。
授産施設等は頑張っているようだが、官・民含めた総合的なバックアップ体制と協力がもっと必要である。
1人1人の生活基盤の安定こそ、社会復帰が現実のものになる。

<共生社会政策関係 都道府県別指標データについて・・H24年1月現在>
http://www8.cao.go.jp/souki/shihyo/index.html#5


愚策を強行の滋賀県との対比②イタリア・トリエステの精神保健/精神保健センター

トリエステの人口約24万人。
イタリアのトリエステでは、精神保健センターが7か所あり、そこでは精神障害者や家族の相談支援、往診などにあたっている。
365日稼働の24時間体制である。(昼間の救急、往診、危機介入、無休)

トリエステの地域精神保健センターには、下記サービスがある(精神病院を捨てたイタリア捨てない日本/大熊一夫氏著より抜粋)
●総合病院(8床のみ)昼夜に関係ない救急活動
●グループホーム12軒72人
●就労共同組合
●工芸工房
●当事者自助グループ
●女性のための精神保健
●家族との協力
●刑務所への出前診療
全医療保健予算の4.9%が精神保健に(住民1人当たり日本円で7~8千円)

対比して、滋賀県の人口は約141万人。精神保健福祉センターは1か所(精神医療センターに併設)
http://www.pref.shiga.jp/e/seishinhoken/
他に各市の障害者福祉課や保健所が相談にあたっているようだ。しかし、障害福祉課には、精神の相談支援専門職は配置されていない。また、保健所は、精神科医につなげるのが前提のようで、様々な専門員による総合的なチーム体制の支援でもなければ24時間体制でもない。
参考まで(大津市保健所)
http://www.city.otsu.shiga.jp/www/contents/1213764775557/index.html


滋賀県の社会復帰施設は不足

嘉田知事が、県のHPで医療観察病棟の建設に関して、滋賀県内の精神障害者は2万5千人いるから、この方たちの社会復帰に理解してほしいと発言している。この発言こそ、非常に偏見の含んだものであることにどれだけの人が気づいているだろうか。
精神障害者が全て医療観察病棟に入院するような誤った発言である。

滋賀県の医療観察法の入院対象者は、2人~5人ぐらいである。

また、全国では、300万人の精神障害者がいると知事は発言している。

医療観察病棟へ入院している全国の対象者は、642人(H23年12月31日のデータ)。

<医療観察法 入院対象者の状況>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sinsin/nyuin.html

指定入院医療機関の整備状況では、676床整備済みである。間に合っている・。
この疑問も病院事業庁へ何度か質問をしたが、明確な回答は得られなかった。

<指定入院医療機関の整備状況>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sinsin/iryokikan.html

13億円も使い、要塞のような特殊病棟を建てる。
2万5千人の精神障害者が必要としているソフト面の人的支援とハード面の施設は不足。
医療観察法の建設費や運営費には、かなりの予算がつぎ込まれるが、地域の社会復帰施設は、全く足りない。
これで、社会復帰が促進出来るのだろうか?

精神障害者・福祉関係施設①

精神障害者・福祉関係施設②

精神障害者・福祉関係施設③


どう促進するのか?滋賀県のお粗末な社会復帰計画

平成22年9月県議会の厚生・産業常任委員会で、病院事業庁が議員に配布した資料には、補正理由として「県の責務として社会復帰を促進する」とある。
嘉田知事も県のHPで「精神障害者の社会復帰のために」と題して発信している。
http://www.pref.shiga.jp/n/byouin/iryoukansatsu/main.html

9月厚生・産業委員会・配布資料(整備)

9月厚生・産業委員会・配布資料(概要)

しかし、社会復帰についての具体的な資料は配布されていない。
計画前に、社会復帰の受け入れ施設などには、県は全く話もしていなかった。
H23年の秋の説明会時に、岡江元室長がやっと1か所へ挨拶に回ったところであると発言している。


社会復帰調整官は不足!縦割り弊害だらけの医療観察法

医療観察法の対象者の社会復帰支援に関わるのは、法務省管轄の社会復帰調整官である。

精神保健福祉士など8年以上の実務経験を積んだ専門的資格を持った人が、法務省に採用され、支援にあたる。
この社会復帰調整官であるが、H21年では全国でたった98人。その後、少しずつ増えているようだが、人員が足りない。

平成22年日本精神保健福祉士会の「心神喪失者等医療観察制度における地域処遇体制基盤構築に関する調査研究事業」
http://www.japsw.or.jp/ugoki/hokokusyo/20100331-5.html

P133体制整備の遅れ

滋賀県もこの計画時は、保護観察所に1人であった。H23年10月にもう1人増やしたとのことであるが、多くのスタッフと莫大な建設費と運営費をつぎ込む医療観察病棟と比較して、お寒い限りの社会復帰支援体制である。

社会復帰に関係する福祉施設や福祉関係者は厚労省の管轄。

その中で、地域の乏しい社会資源から支援にあたる法務省管轄の社会復帰調整官の労力は大変なものだと推察する。

滋賀県病院事業庁の職員には、病棟のことしか念頭になく、病棟を出た後のことは管轄外というスタンスである。医療観察法は、対象者の社会復帰を促進することを目的とする。その大前提を無視して、計画を進めること自体、法の趣旨に反している。
このことが縦割り思考の病院事業庁の職員には全くわかっていない。
専門家までが有効な治療法がないと言っているのに、効果が見えない治療だけに頼り、生活支援の視点が欠落している。

縦割り弊害は厚労省と法務省にも言える。共同で進めるとあるが、情報の共有化は図られていない。
そもそも心神喪失で病気として罪にならなかった対象者が、法務省管轄に移行すること自体、おかしなものだ。
本気で社会復帰支援をするのなら、福祉施設や福祉サービスを統括する厚労省が責任をもって支援にあたるべきである。

また、法の規定による社会復帰調整官の支援は3年間(延長2年)だけである。その後の支援体制がどうなっているのかは不透明である

P141実情と課題

P7地域処遇におけるいくつかの課題

一般精神障害者の社会的入院の解消や資源も乏しい中、司法精神医療の対象者の社会復帰はもっと難しい問題である。 そこをしっかり整備もせず、このような特殊な法の病棟建設を進める縦割り思考の行政は無責任極まりない。

 


課題の多い医療観察病棟!社会復帰のハードル

<医療観察病棟 入院治療と処遇>

<医療観察病棟 孤立感と社会復帰のハードル>

厚労省などがいう 最高水準の治療(どんな治療かはわからない)をしながら、法務省の資料にあるように再犯率の改善になぜつながらないのだろうか。医療観察病棟の中だけスタッフが多く手厚くても、社会復帰後の受け入れ態勢が手薄であれば、どんな治療も無駄になるのでは・・。

<法務省:重大再犯精神障害者の統計的研究>
http://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00032.html


精神医療業界の実態⑧

「巨利をむさぼる精神医療業界 第8章 事実を知ろう」


滋賀県民として恥ずかしい。嘉田知事、お騒がせな結末

嘉田知事は、日本未来の党の代表を辞任して「顧問」に就任する模様。
周りの滋賀県民からは、「滋賀県民として恥ずかしい」という声が多数聞こえてくる。
このホームページでも、知事の言葉の軽さをずっと訴えていたが、まさかこれほどの短期間で変節とは・・・。
日本未来の党に投票した有権者の思いはどこに行くのだろうか。
政治不信に拍車をかける結末となった。
大津市のいじめ問題、嘉田知事のお騒がせ政治騒動とつづく滋賀県のイメージ低下は大きい。
そして、住民を相手に行政が意固地な訴訟へと突入状態。
ますます、滋賀県行政のマイナスイメージが膨らむだけである。やる気のある県職員の士気の低下も懸念される。

<日テレ NEWS24>
滋賀・嘉田知事、未来の党代表辞任を表明
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20130104-00000034-nnn-pol

<産経新聞>
惨敗、分裂、足元からの批判…嘉田氏、四面楚歌の末「白旗」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/619401/

<京都新聞>
嘉田氏、未来代表辞任を表明 陳謝し「知事職に専念」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130104-00000011-kyt-l25


愚策を強行の滋賀県との対比①イタリア・トリエステの精神保健/バザーリア改革

新年明けましておめでとうございます。

2013年を迎えてもこの医療観察病棟建設の問題は続いている。
住民訴訟による公判も引き続き行われる。

滋賀県が、住民と争ってまで、建設を強行しようとすることが、どれほど愚かなことか・・。
医療観察病棟建設は、歴史に残る愚策である。後で歴史に必ず裁かれる。

治療しても効果がない(治療したほうが再犯が増えているというデータもあり)、自殺者が増えているなどの司法精神医療の医療観察病棟の問題を考えることと並行して、一般精神医療(入院や在宅を含め)の問題をどうすべきかを考え反映させる。実際、一般精神医療改革をしたトリエステでは司法精神医療機関へ入院する患者が減少しているとのこと。

世界から100年立ち遅れていると言われている日本の精神医療。
イタリアのバザーリアの精神保健改革は、どのような形で今に受け繋がれているか・・。
地域社会はどうあるべきか・・・。
映像を随時紹介していきたい。

まずは以前紹介したイタリア・トリエステの精神保健/バザーリア改革 から

 


怒涛の1年を振り返る

医療観察病棟建設計画が浮上してから2年目。
反対運動が起き、このホームページを開設してから1年以上経つ。

当初、滋賀県から住民へ配布された説明会資料は限りなく薄く、内容も簡略したものだった。
疑問点を質問したら、説明会資料は少し厚くなり、内容も少しだけ詳しくなった。
その後、質問しては資料内容が増えることの繰り返し。

滋賀県の未来を真摯に考えて計画しているようにはみえなかった。
医師補充の資金源欲しさのために、 駆け込みで手を挙げたことは、精神保健福祉審議会の関係者の発言録で後々わかった。

計画を立てた責任者たちは、住民の反対運動が起きた時に、なぜこの計画を進めるのか、詳細なデータ(集めようと思えばすぐ入手出来たはず)を元に住民の前で説明すべきであった。しかし、そうはしなかった。出せない理由は公文書などを調べて推測出来た。

そして、計画責任者はというと••
村木元病院事業庁長は、一部の住民と裏で会合するため隠密訪問(H24年1月)し、反対運動を沈静化しようとしたにも関わらず、早期退職。

H22年計画時の谷口元病院事業庁長は、3度目の職場で(県総務部長→病院事業庁長→滋賀県監査委員)、自身が関わった建設計画で住民監査請求を起こされている状況を知りながら、全く知らんぷり。

福井前病院事業庁長は、市長選に出るためさようなら。

そして、最高責任者でもある嘉田知事は、家族会に会うこともせず、住民が渡そうとしたファイルも拒絶し、地元に足を運ぶこともなかった。県内の様々な問題に向き合うこともせず、国政に羽ばたいて逃げ出そうとしたのは記憶に新しい。

また、計画を立案したであろう元厚労省出身で精神科医でもある苗村室長は、反対住民がいるところには行きたくないということで、青山学区に説明に来ることはなかった。

大津市自治連合会はどこを向いて運営されているのか不透明感が浮き彫りになった。
当地域もこの問題が浮上した早い時期(H23年の春)に自治連合会が行動を起こしていたら、これほどの大きな動きにはならなかったはず。

自称地域のご意見番(地域の若い人たちは誰もそう思っていない)長老族は、反対住民に対して「国が決めたことにごちゃごちゃ文句言うな」「騒ぎたてたら問題のある地域にみられる」「反対意見がバラバラなのはおかしい」など、自由な発言を止め、それこそ統制、抑圧した考えを押し付けようとしてきた。自分たちに関係ない問題にはとことん無関心。しかし、公の場では、「人権のために必要だ」ともっともらしいことを述べていた。

行政も地域の一部長老族も「権威のある人たちが言っているから」ということをしきりに言っていたので、「権威」のある人の発言や業績などを調べたが、さっぱり権威のすごさを感じられなかった。

京都から「精神科医の権威」を連れて来たと県職員の人たちが言っていた。県の言う「権威」の岡江元室長の話であるなら、よくわかるだろうと説明会にのぞんだが、聞けば聞くほど混乱するばかり。しまいには何が言いたいのかよくわからず、眠くなる始末。「権威」は、催眠療法を駆使するのかと思った。

元厚労省の官僚権威の苗村室長には、1対1で質問したにも関わらず、「あなたとは話をしない」と言われた。
地域の代表からの質問しか受け付けないとのこと。さすがに縦社会でそこそこの地位になった方は、しかるべき人を通さないと話をしてくださらなかった。危なくなったら部下を置いて逃げ出す(訴訟説明会時の一コマ)素早さと自分だけを守る術が、出世には必要なのだろう。

そして、最も滑稽なのは、何の権威もないはずの地域の一部長老族が、権威があるかのように振る舞い(ほとんど自己満足の世界)隠された真実を明るみにする作業、暗闇から光に出すことを止めようとし続けたことだ。

地域の人たちが感謝を捧げるのは、ゴミの清掃や草刈りなど、額に汗して街のために尽力、奔走してくれる方たちに対してである。自称ご意見番の長老族のことなど、地域の子どもたちは誰も知らない。

大(国)、中(県)、小(地域)も構図が全て同じであることがわかった。見るべき人を見ず、聞くべき人に聞いていない。

この建設計画は、精神保健福祉審議会の具申を受けて進めたと知事は 、発言している。精神保健福祉審議会メンバーはほとんど精神科医などの医療関係者か一部の福祉関係者などである。いわゆる権威ある人々で構成されている。当事者や地域住民の声は反映されていない。真剣に「共生社会」を目指すのなら、多様な意見の当事者たちに参画させるべきである。そして、揉めながらでも対話を重ね、滋賀県ならではの「精神保健」を構築すべきであろう。そうしたことを全くしなかった 滋賀県の姿勢は残念であった。

様々なことが目まぐるしく起きた1年間であった。
大変疲れた1年間でもあった。そして、思いもよらず1年以上発信している。
しかし、今後もより良い地域社会(環境)を模索して、理不尽な事柄にはNoと言いましょう。
何はともあれ、2013年もよろしくお願いします。


ジル・シュミットのレポート③とバザーリア映画

ジル・シュミット「自由こそ治療だ」から抜粋。

診断とはしばしばある人の現実の生活の困難さにつけるレッテル以外の何ものでもない、ということ。
医師自身の間でもしばしばこのレッテルに関し全然一致しない、ということが次第に看護者にわかってくる。
彼らはまた、薬物が特異的な作用をもっているのではなく、純粋に試行的に処方され、何の基準もなく再び中止されるということに気づく。またもっとも初期の電気ショックは、頭を丸太ん棒でたたくこととあまり変わらないものであり、効用についても科学的説明がないということがわかってくる。そして、また、精神療法とは雑談以外の何ものでもないとわかるのだ。(中略)

ショック療法で治療するのは患者でなく、いわゆる健常者なのだ。
彼らの使うショックとは自由ということである。「自由こそ治療だ」と病院の壁に赤い文字で書いてある。だがそれが「内部」にいる患者の問題だと思う人がいるとすれば、それは間違いである。
「自由」というショックは「外部」にいる人々にも不安をひき起こす。バザーリアは語っている。
「私たちが数年前病棟を解放し、患者を外出させたり、住民を病院に招待したとき、街全体は恐怖に陥った。
そのために当時、街は『精神医療』 という現象に直面することになった」

イタリアでは、バザーリアの改革を描いた映画が制作され上映。日本でも「180人のMattoの会」が中心になり、各地で自主上映している。
http://180matto.jp/

バザーリアの改革がどのような道を辿ったのか、イタリアの精神保健とは・・。
バザーリアの精神保健改革については、ジャーナリストの大熊一夫氏の著書「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」に詳しく掲載されている。

明日は、2012年最後の日。この1年間を振り返り、関係者とのやりとりで感じた裏話を思いつくまま書きます。


ジル・シュミットのレポート②

ジル・シュミット「自由こそ治療だ』から抜粋。

(バザーリアの言葉)
「医学と精神医学は社会的な視座なしには討論が不可能であり、社会的視座なくして技術に関する討論は全く無意味である、ということが理解されていなかったということだ」

「人間には苦悩がつきまとう。これは社会組織が立ち 入ることが全くないためなくなることはない。ある人が調子が悪くなると、何かを求める。しかし、誰も答えてくれない。(中略)また家族の中での生活が不可能となるのも、1つのアピールである。しかしこれらのアピールにどのように答えてきたか。いつも答えはきまって抑圧である。そしてこれを正当化するために精神医学はその症状論ーこれが苦悩の成文化である疾病であるーを生み出す」

(バザーリアとシュミットの対話)
シュミット
「しかし社会が自ら精神病と呼んでいる欺瞞を使うという事実だけでも結果として病気が存在することになるのでは・・」
バザーリア
「病気でなく、苦悩が存在するのです。その苦悩に新たな解決を見出すことが重要なのである」
シュミット
「彼自身、つまり患者自身も自らの病気という概念を内在化してしまっているのでしょうか、また自らの異常な行動もこの概念で刻印されてしまっているのでしょうか」
バザーリア
「もちろんです。彼が私たちのもとにくるとき、それ故に抑圧以外の何ものも求めることができません。というのは病気に対する解答も当然前もって刻印されているからであり、治療施設は治療施設で別の答えを出しうるなどとは思ってもみないからです。だが彼と私との関係、彼と他者との関係も変化してきます。そこから抑圧への願望もなくなり、現実の問題が明るみに出てきます。この問題は自らの問題であるばかりでなく、家族の問題でもあり、あらゆる他者の問題でもあるのです」(中略)


ジル・シュミットのレポート①

スイスの女性ジャーナリストのジル・シュミットが、バザーリアの精神病院解体とイタリアの民主的精神医療化について取材している。
レポートの題名は「自由こそ治療だ」 半田文穂氏 訳

「自由こそ治療だ」には、下記のような記述がある。

(ルイジ・アタナジィオ医師の言葉)
「大事なことは信頼関係をつくり上げること。つまり嘘、だまし、患者の内緒話をしないこと。そのことについて誤解をとり除くこと。患者がどうなるかを完全に明らかにすること」

信頼を作り出すこと。入院の具体的理由に答えること。共同して危機についての原因をさぐること。(中略)できるだけ入院は避ける。もし避けられない場合は、できるだけ短くする。病気を「ありきたりなもの」にしてしまうこと。つまり危機に導いた社会的、経済的原因以上には重大視しないことである。

(ピレラ医師の言葉)
「私たちは数多くの薬物をすでにふるい落とした。それは看護者あるいは患者が全体会議で副作用について不満を述べたためである」

民主的精神医療における向精神薬は、今となっては急性期の危機状態の鎮静剤として、また全体会議のための補完物としてわき役を担っているにすぎない、と格言できる。(抜粋)

(バルバラ・シュミットの言葉)
「危機状況を患者と共同して向精神薬なしで切りぬける諸前提は次の通りである。患者の落ち着きのなさにできるだけ早く気づくこと。患者が時間の経過とともに不快感を表現することを学ぶこと。そうすれば、解決策を探しだすことができるのだ。それにもかかわらず問題が生じたとき、看護者を受け入れられるように、患者が十分に信頼をもてるようにする。そしてまた、この看護者が逆に不安やうつ的にならないようにすることである」

医師・患者の民主的関係、会議において遭遇するあらゆる問題を公開で討論すること、伝統的医療とは異なる薬剤の取り扱い方、あらゆる閉鎖病棟の解放と外部への病院の解放、それらは革新的病院の内部改革の本質的特徴である。しかしながら、この変化は病院内にとどまらない。イタリアの民主的精神医療とは精神科医療の脱中心化、つまり巨大精神科病院から外部の革新的施設への重点の移動なしには考えられないであろう。(抜粋)


イタリアの精神保健改革

精神障害者の社会的入院の解消と病床数削減、地域生活へ移行を行う上で、最も必要なそして困難が予想されるのが、地域に基盤を持たせることである。つまり、地域精神保健の充実である。
現在の日本において、地域精神保健がどのような状態であるか、関係資料を随時発信していきたい。

今回は、精神科病院を撤廃し、地域精神保健サービスに力を入れてきたイタリアの施策を簡単に紹介しよう。 イタリアでは、1970年代にフランコ・バザーリアという精神科医が精神保健改革をおこす。このバザーリアを招請したのは、トリエステの県代表(日本でいう知事)ミケーレ・ザネッティである。


嘉田知事は、障害者政策委員であった

下記は、福祉新聞(12月24日号)の障害者政策委員会の記事(抜粋)である。

<福祉新聞・12月24日>
「障害者参画で政策を」内閣府政策委 基本計画の意見まとまる

 内閣の障害者政策委員会(委員長=石川准・静岡県立大教授)は17日、来年度から始まる障害者基本計画について意見をまとめ、前川清茂副大臣に手渡した。差別の禁止や政策決定過程に当事者が参画することなどを障害者施策の基本原則とするよう求めている。これを受け政府は計画を策定する。
基本計画は障害者施策の方向性を国が示すもので、障害者権利条約の批准に向けて昨年改正された障害者基本法に基づく。各省庁にまたがり、さまざまな分野の施策の目標を示すことになる。
政策委員会は、先送りできない重要課題として精神障害者の社会的入院の解消と病床削減、地域移行の促進、また難病患者への支援拡充などを挙げた。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

今年は、10月に障害者虐待防止法も施行され、障害者政策に変化が起きた重要な年であった。
来年度から始まる「障害者基本計画」のために、意見具申する大事な障害者政策委員会であるが、その障害者政策委員に、全国知事会の代表として、滋賀県の嘉田由紀子知事が名前を連ねている。

医療観察病棟建設計画では、精神障害者関係団体が、凍結声明文を出し(日精協は途中翻意)、地元住民も凍結を要求していたにも関わらず、強引な手法で押し切って記者会見を開いた知事が、障害者政策委員とは・・。
障害者基本計画の柱となるのは、「共生社会の実現に向けて」である。「当事者の声は聞かない」、「当事者には参画させない」、「医療観察病棟の問題で住民訴訟まで起きている」と、政策委員会で滋賀県の姿勢について述べていただきたかった。
しかし、嘉田知事は、全5回あった政策委員会の会議は全て欠席。障害者政策に無関心であるのなら、全国知事会の代表を辞退して、障害者政策に関心のある他県の知事に就任していただいたほうがよかったのではないか。

また、政策委員会では、精神障害者の社会的入院の解消や、病床数削減、地域移行の促進を重要課題としている。
一般精神医療の病床数を削減し、司法精神医療の病床数は増やす。滋賀県が行う精神医療施策は、何の解決策もなく、全て未来への先送りである。

嘉田知事は、「国民の生活が第一」の議員たちと分裂して、「日本未来の党」という名をとったようだが、どのような日本の未来を目指すのか?いっそのこと「琵琶湖の党」という名称に変更したほうが、知事らしくて良いのではないだろうか。

<内閣府:共生社会 政策統括官>
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html

<政策委員会:委員名簿>
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/pdf/meibo.pdf

<政策委員会会議・・冒頭で欠席者の名前が読み上げられている>
●第1回
http://wwwc.cao.go.jp/lib_003/video/shogai01-1.html
●第2回
http://wwwc.cao.go.jp/lib_003/video/shogai02_1.html
●第3回
http://wwwc.cao.go.jp/lib_003/video/shogai_seisaku05-1.html
●第4回
http://wwwc.cao.go.jp/lib_003/video/shogai_seisaku08-1.html

●第5回
http://wwwc.cao.go.jp/lib_003/video/shogai_seisaku09-1.html


お騒がせで終わりそうな日本未来の党、未来はあるのか?

<京都新聞>
未来、年内にも分党 嘉田氏と小沢氏側 人事で対立激化

日本未来の党の嘉田由紀子代表(滋賀県知事)は26日、大津市の県庁で記者会見し、年内にも分党する方針を表明した。党役員人事をめぐり、「国民の生活が第一」元代表の小沢一郎氏を支持する国会議員との対立が深まり、先月27日の結成からわずか1カ月で事実上分裂状態となった。  嘉田代表は分党の理由を「人事案が認められなかったことが最大の要因」とし、「リーダーシップ不足で混乱を招き、おわび申しあげる」と陳謝した。分党案は26日朝、小沢氏側から申し出があったという。  所属議員は現在17人だが、小沢氏側の15人が党を出る見通し。残留するのは、嘉田代表が共同代表に推した社民党出身の阿部知子氏だけとなるが、嘉田代表は26日に離党の意向を示した亀井静香氏の慰留に努める。  国政政党は所属国会議員5人以上が必要だが、直近の国政選挙の得票が全国の有効投票総数の2%以上ある場合も認められるため、日本未来は政党として存続できる見通し。  嘉田代表は「(小沢氏との)異質性で力を発揮できると努力してきたが結果的にうまくいかず、さみしい。残念だ」と述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121226-00000035-kyt-l25

<毎日新聞>
<日本未来の党>分裂が不可避に 人事を巡る対立などで
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121226-00000080-mai-pol


嘉田知事、県政でも国政でも混乱の渦中

嘉田知事は、滋賀県議会で二足のわらじを批判され、兼務解消決議案を可決される。また、日本未来の党は、「成田離婚」と早くも分裂騒ぎ。

<ABC NEWS 関西ニュース>
【政治姿勢を批判】嘉田知事の兼務解消決議案を可決
http://webnews.asahi.co.jp/abc_1_001_20121226005.html

嘉田知事に対して、兼務解消決議案を可決し、気勢をあげる滋賀県議会自民党などの他党だが、この医療観察病棟の件では、請願書のお願いに行った住民対して恫喝まがいの言動の自民党議員もいたことを忘れまい。また民主党や公明党は見て見ぬふりであった。

いろいろな住民が説明やお願いに行ったが、精神医療に真摯に向き合って調べてくれる議員はいなかった。精神障害者の現状に目を向けてくれる議員もいなかった。県議会議員にはもう期待しない。


ベンゾジアゼビン依存や離脱についての情報

読売新聞 佐藤記者の「精神医療ルネサンス」では、ベンゾジアゼピンの離脱についてマニュアルを公開したアシュトン教授の記事を掲載している。佐藤記者の「精神医療ルネサンス」は、当事者取材を徹底し、社会へ精神医療の問題提起を発信している非常に良質な情報サイトである。

抗不安・睡眠薬依存(8) マニュアル公開記念・アシュトン教授に聞いた
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=63497

抗不安・睡眠薬依存(9) うつ病学会も漫然処方批判
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=64449


ベンゾジアゼビン依存症とは・・・

ベンゾジアゼピン依存症
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%BE%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E4%BE%9D%E5

ベンゾジアゼピン離脱症候群
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%BE%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E9%9B%A2%E8%84%B1%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%AD%98%E7%97%87


精神医療業界の実態⑦

「巨利をむさぼる精神医療業界 第7章 副作用」


治療法の開発に至っていない(国立精神・神経医療研究センター理事長の挨拶文)

国立精神・神経医療研究センター理事長は、HP上で、堂々とこう挨拶している。自組織のHPで「ご挨拶」と記載しているのは、一般的な感覚としておかしいと思うのだが・・。業界ではよほどお偉い方なのだろう。

<独立行政法人 国立精神・神経医療研究センターHP>
http://www.ncnp.go.jp/guide/greeting.html

日本の精神医療研究機関のトップの言葉がこれです。薬理研究部部長の精研たより10の文にも驚いたが・・。

「脳やこころの病気の多くは、まだ原因が解明されていないか、あるところまで原因が解明されているが、まだ治療法の開発には至っていないという状況です」

この国立精神・神経医療センターの中に、医療観察病棟の研究をしている司法精神医学研究部が存在する。
治療法が開発されていないのに、治療のための医療観察病棟が存在する。どんな治療?壮大な実験?謎は深まるだけである。

http://www.ncnp.go.jp/nimh/shihou/

司法精神医学研究部のHPを見る限り、参考になる資料は全くない。カテゴリの「業績」を見ても、研究者の著作や論文などの羅列ばかり。
通院モニタリング研究のこれまでの成果や入院モニタリング研究のこれまでの成果も「準備中」とある。
医療観察法が施行されたのが、H17年である。いつまで「準備中」が続くのか・・。
この独立行政法人 国立精神・神経医療研究センターへ国庫からの支出は?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%B3%95%E4%BA%BA%E4%B8%80%E8%A6%A7