再送:UPDATE2: 11月経常収支、1月以外で初の赤字 輸出不振で過去2番目の規模2224億円
[東京 11日 ロイター] 財務省が11日に発表した2012年11月の経常収支は2224億円の赤字となった。月間の経常収支が赤字となるのは昨年1月以来10カ月ぶりで、赤字幅も昨年1月に次ぐ過去2番目の大きさ。中国や欧州向けの輸出不振などで貿易・サービスが大幅な赤字となった。正月休みなどで黒字が縮小しやすい1月を除くと、経常収支の赤字転落は比較可能な85年以降で初めて。
<貿易・サービス収支は過去3番目の赤字幅>
過去2番目の大幅赤字を計上した最大の要因は、大幅な貿易・サービス赤字。欧州・中国向けが引き続き苦戦して輸出が前年同月比で6カ月連続して減少、輸入がわずかながら同2カ月ぶりに増加したことで、先に発表された貿易収支と算出方法が異なる経常収支上の貿易収支も、8475億円の赤字と過去2番目の大幅な赤字を計上した。
サービス収支は1901億円の赤字。震災後の反動増で訪日外国人旅行者数が増えたほか、海外貨物に対する運賃の支払いなども増加した。サービス収支は昨年4月から赤字が続き、11月の赤字幅はここ数カ月を下回る水準にとどまったが、貿易収支と合算した貿易・サービス収支は1兆0376億円の赤字と、昨年1月、09年1月に次ぐ過去3番目の赤字を記録した。貿易・サービス収支が赤字となるのは8カ月連続。
<所得収支が5カ月ぶり1兆円割れ>
安定的な黒字を計上してきた所得収支も、11月は8915億円と昨年6月以来の低水準にとどまった。日本に拠点を置く海外企業の配当金の本国送金などを含む直接投資収益が、1791億円と11年2月以来の水準で伸び悩んだことに加え、国内企業の配当金など証券投資収支も6592億円と昨年6月以来の少なさだった。所得収支の減少について財務省は「個別の企業などの方針によるもの」とだけ説明している。
<季節調整済み収支、過去3番目の低水準>
季節的な変動要因を除外して算出した季節調整済み経常収支は2259億円と、専門家の事前予想通り黒字を確保した。だが、その水準は初の赤字に転落した昨年9月も含め、比較可能な96年1月以降で過去3番目の低水準だった。
季調後の貿易・サービス収支は8725億円の赤字、所得収支は1兆1846億円の黒字だった。
<赤字幅は事前予想大きく上回る、円安・株高進行>
ロイターが事前に民間調査機関を対象に行った聞き取り調査では、11月経常収支の予測中央値は35億円程度の赤字。専門家予想を大きく上回る赤字となったことを受けて、発表直後の外国為替市場では円が売られ、対ドルJPY=で一時89.30円と10年7月以来の円安水準をつけた。
円安が進行したことなどを受けて、株式市場では日経平均.N225が昨年2月以来、約1年11カ月ぶりに1万0800円台へ上昇。円債市場では10年最長期国債利回り(長期金利)JP10YTN=JBTCが0.840%へ上昇した。
*財務省の発表資料は以下のURLでご覧になれます。
(ロイターニュース 基太村真司 ; 編集 久保信博)
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