アングル:B787型機トラブル、リチウムイオン電池安全性への議論高まる
[デトロイト/ニューヨーク 9日 ロイター] 米ボーイング(BA.N: 株価, 企業情報, レポート)787型旅客機ドリームライナーのバッテリーから出火した問題を受けて、リチウムイオン電池の安全性をめぐる議論が高まっている。
米ボストン・ローガン国際空港で7日朝方、駐機していた日本航空(9201.T: 株価, ニュース, レポート)のボーイング787型機で、バッテリー火災が発生。装置格納部が大きく損傷した。787型機は飛行中であれば、火災が発生しても煙がキャビン内に入り込まない設計となっているが、今回の火災が発生したのは駐機中だったことから、煙がキャビン内に入り込んだという。
新たなバッテリー技術は、787型機の低コスト戦略を支えている中核部分だ。ボーイングによると、787型機は、従来型の技術を使っているライバル社製の航空機と比べて、燃費性能が20%も優れている。
787型機では、伝統的な油圧機器よりも、電気システムが多用されている。これにより軽量化が実現したが、複雑さは増した、とされる。
ボーイングのチーフエンジニア、マイク・シネット氏は9日、電話会見で、リチウムイオン電池は過充電になると発火する恐れがあり、発火すると、化学物質が酸素を発生させるため、消火は困難だ、と述べた。
同氏は、787型機では、過充電を防止し、バッテリー火災を阻止するようシステム設計がされている、と指摘。万が一火災が発生した際でも、キャビンに到達する前に煙を排出できるようになっているという。
同氏は、リチウムイオン電池は唯一の選択肢ではない、とする一方で「正しい選択」であり「今でも同じ選択をするだろう」と話している。
同氏は、日本航空機の火災については詳細には触れず、バッテリーに欠陥があったのかどうかについては、分かっていないと述べた。発火したのはジーエス・ユアサ コーポレーション(6674.T: 株価, ニュース, レポート)製。ボーイングは、異なるバッテリー技術を使うことは検討していない、としている。 続く...