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高校野球コラム

野球を好きになる七つの道 〜その2〜

2010年07月24日

二、ダッシュは全力10本

写真野球評論家・桑田真澄さん=鈴木好之撮影  68年、大阪府生まれ。甲子園で投手として20勝。86年、巨人に。通算173勝。07年に米ピッツバーグ・パイレーツに移籍。08年に現役を引退。現在はスポーツ報知評論家。著書に『野球を学問する』(平田竹男と共著)『心の野球――超効率的努力のススメ』など。
写真効率的な練習について解説する=鈴木好之撮影
写真甲子園で投げる

 技術を向上させるためには、どんなスポーツでも反復練習が必要でしょう。でも、最高速度でダッシュを100本、素振りを千回もできますか。きっと、だれにもできません。では、指導者から無理やり命じられたら?

 正直にお話しすると、ぼくはカウントする数字を抜きました。3の次は5、5の次は7、10……。

 「ランニングに行ってきます」と言って指導者から離れて、その頃はまだ普及していなかったアイシングをしたこともあります。後輩たちと寝転がって、大きな空を見上げていたこともあります。

 もちろん、手を抜いたりサボったりするのはいいことではありません。でも、決して大きくない自分の身体を守るためには必要なことでした。なぜなら、ぼくの周りのまじめで才能のある選手ほど、指導者から指示されるままに頑張りすぎて、ケガをして、表舞台から消えていったから。

 それに、練習量を増やし過ぎると、動作は徐々にゆっくりになってしまいます。その動きを脳が覚え、身体に染みついてしまう。ダッシュは全力10本でいい。きみが投手なら、ダッシュ1本が1回の投球だと思って9回走ってみよう。10本目は延長の分。

 どうですか、集中力がぐんと上がったでしょう。


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