栗原市(旧沢辺村)産の自家消費米からの放射性物質基準値超過に伴う出荷自粛の要請について(農産園芸環境課)
記者提供資料
平成25年1月10日
農林水産部農産園芸環境課
農産食糧班高橋,横田(内線2841)
環境対策班堀内,松原(内線2845)
栗原市(旧沢辺村)産の自家消費米からの放射性物質基準値超過に伴う出荷自粛の要請について
栗原市で農業者から持ち込まれた旧沢辺村産の自家消費米から基準値を超える放射性セシウムが検出された。
県では,自家消費米であるものの,出荷米への影響を確認するため,栗原市及びJA栗っこに対し,旧沢辺村産米の出庫停止を要請し,基準値を超過したほ場及びその周辺ほ場の米の検査を行った。その結果,基準値を超過したものは当該ほ場で生産された米のみであり,周辺ほ場への広がりは確認されなかった。
この基準値を超過したほ場は,長く休耕しており,原発事故当時雑草が繁茂していたこと,大型機械が入れず,耕深が非常に浅いため,表層近くにセシウムが多くなったことや堆肥などの投入もなされていないことから,カリウム含量が低いなど,セシウムが吸収されやすい条件にあったと考えられる。
県としては,宮城米の安全性に万全を期するため,栗原市に対し,旧沢辺村産の米について,出荷自粛を要請し,旧沢辺村の米の全量検査さらには隣接の旧市町村の米を全戸検査により,今回の基準値超過米の地域的な広がりがないことを確認し,基準値超過米の発生がなければ,出荷自粛を解除する。
1 経過
(1)栗原市が,平成24年12月5,13日に市内の農業者から持ち込まれた自家消費米の放射性物質を測定した結果,基準値を超える放射性セシウムが検出された。
検査月日 | 測定結果(ベクレル/kg) | 備考 |
---|---|---|
平成24年12月5日 | 208 | ひとめぼれ |
平成24年12月13日 | 186 | みやこがねもち |
(2)県は平成24年12月15日に栗原市及びJA栗っこに対して旧沢辺村産米のJA倉庫からの出庫停止を要請し,基準値超過米が生産されたほ場及びその周辺ほ場で生産された米について放射性物質検査を行った。
(3)その結果,基準値を超過したものは当該ほ場から生産された米のみであり,周辺ほ場への汚染の広がりは確認されなかった。
2 当該農業者の生産状況
(1)当該農業者は,旧沢辺村内の2か所のほ場(計30a)で水稲を作付けしている。
(2)基準値を超過したほ場(10a)は,3品種を作付けし,自家消費米としてすべて保管しており,流通はしていない。
(3)他のほ場(20a)は,1品種が作付けされ,一部はJAに出荷,残りは自家消費米として保管されており,流通はしていない。(すべて基準値以下)
(4)基準値超過のほ場は次のような特徴から,放射性セシウムが吸収されやすい条件で,地域でも特異的なほ場であったと考えられる。
- 40年以上にわたり休耕していたため,原発事故当時雑草が繁茂していたこと。
- 大型機械が入れず,耕深が非常に浅いため,セシウムが表層に多くなった。
- 堆肥,稲わらの施用が全くなく,土壌のカリ濃度が低い。(11mg/100g)
| 基準値超過ほ場 | 他の生産ほ場 |
---|---|---|
作付面積 | 10a | 20a |
収穫量 | みやこがねもち3袋 | ひとめぼれ 36袋(30kg袋) |
出荷量 | 全て自家消費用として自宅に保管 | 22袋を出荷(JA倉庫に保管) |
収穫・乾燥方法 | ・バインダー刈り・自然乾燥 | ・コンバイン刈り・機械乾燥 |
※2つのほ場は,約300m離れている。
3 栗原市(旧沢辺村)の米の生産状況
- 生産者数 252名
- 生産量 約1,500t
- JAの集荷量 1,310t
4 今後の対応
県では,国の指導・協力を得ながら,宮城米の安全確認に万全を期し,今回の基準値超過米の地域的な広がりがないことを確認するため,以下の取り組みを行う。
- 旧沢辺村産の米の全量検査を実施するとともに,隣接する旧市町村についても,全戸検査を実施する。
- 検査の結果,基準値超過米の発生がなければ,出荷自粛を解除する。