広島電鉄:トップ解任 新社長方針、運賃値上げ白紙 新線地下案も撤回表明 /広島

毎日新聞 2013年01月10日 地方版

 1世紀にわたって市民の足を支えてきた広島電鉄で、年明け早々に起きたトップ解任劇に波紋が広がった。椋田昌夫・新社長は9日、中区の本社で記者会見し、取締役に降格された越智秀信・前社長が表明していた今春の運賃値上げを白紙に戻す方針を示した。広島市と同社で整備を進めるJR広島駅と市街地中心部を結ぶ新線「駅前大橋線」についても、越智前社長が主張していた地下方式による乗り入れ案を撤回する考えを表明した。【植田憲尚、中里顕】

 運賃について越智前社長は、今年中をめどに運賃150円の市内5路線で20〜30円、宮島線でも距離に応じた値上げを検討していた。老朽車両の更新やバリアフリー化のための超低床車両導入、電停の改良工事を進めており、値上げ分を原資にする考えだった。

 しかし、こうした方針は取締役会の了解を得ていなかったという。椋田社長は「この景気で簡単に値上げはできないし、理由がいる。前社長が出した案はデータなどに無理があった」と説明。越智前社長の案には値上げに伴うリストラ案もあり、「厳しい労使関係になりかねない案だった」と話した。

 ただ将来的な値上げについては、人口減などを背景に収益増が難しい事情を理由に「お願いしないといけないことに変わりはない」と述べ、市や中国運輸局などと協議して方針を示すという。値上げ申請の撤回は9日、中国運輸局に説明した。

 駅前大橋線については、椋田社長は「一度平地に戻す。行政の方向性にできるかぎり協力する」と説明し、「整備事業は行政主体で進める事案。私どもは整備に協力する立場。(前社長には)発言に気を付けてと言っていた」と述べた。越智前社長以外に、地下方式による乗り入れ案を推した取締役はいなかったという。

 駅前大橋線のJR広島駅への乗り入れを巡っては、越智前社長が地下案を強く推していたのに対し、高架案を希望するJRとの間ですれ違いが生じていた。JR西日本広島支社は「影響については分かりかねる。今後も関係者と協力して駅周辺の活性化に貢献したい」と述べるに留めた。

 広島市の高井巌道路交通局長は、椋田社長が越智前社長の意向を白紙撤回したことに対し、「これまで通り2案で議論をしていく」と強調。年度内の方式決定を目指しているが、突然の社長交代にも「大きな影響が出るとは考えていない」と語った。

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