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(29時間51分前に更新) |
沖縄は飲酒絡みの交通事故で依然として、不名誉な地位から抜け出せないでいる。
交通事故による死亡者が2012年は前年の45人から40人に減り過去最少を記録する一方で、同年の全人身事故に占める飲酒絡みの割合は、23年連続で全国ワーストになりそうな勢いだ。
12年の死亡事故も、7件が飲酒絡みである。まだ全国との比較ができない段階だが、飲酒絡みの割合は1995年から15年連続で全国ワーストを記録、10、11年はワースト2位だった。
昨年の特徴は、飲酒運転で摘発され、免許停止などの行政処分を受けた公務員が増えたことだ。昨年11月時点で、前年同期と比べ9人増え、33人となっている。公務員のモラルが問われる数字である。
2009年10月に施行された「県飲酒運転根絶条例」には、「公職にある者の率先垂範」の項目を設けている。公務員の増加は、飲酒運転をなくすることに真っ先に取り組まなければならない役割を裏切るものだ。
問題は公務員だけではない。県内で11年中に飲酒運転で摘発されたのは2019件に上る。人口千人当たりで全国ワーストである。
飲酒運転とアルコール依存症の関係が指摘されている。警察庁の09年のアンケートで、飲酒運転摘発者の57・6%が過去にも摘発された経験があり、このうち約4割が依存症の疑いがあった。
県警も医療機関と連携して早急に飲酒運転とアルコール依存症との関連を調査し、対策を講じてもらいたい。
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全国で初めて罰則を盛り込み、昨年9月に全面施行された福岡県の飲酒運転撲滅条例は、飲酒運転の摘発者を対象に、アルコール依存症対策に乗り出している。
飲酒運転の背後に、アルコール依存症の存在をみているからだ。指定医療機関で依存症と診断されれば、治療が義務付けられ、違反すれば罰則が科される。依存症でないとされた人も「飲酒行動是正プログラム」を受けなければならない。
飲食店に焦点を当てた条例化の動きも出ている。
2年連続で交通事故による死亡者が全国最多を記録している愛知県警は、飲食店側の責務を厳しく問う条例案の検討を進めている。
条例案には、客が飲酒運転で摘発され、1年以内に再び摘発されるなどした後も、改善されない場合は、店名を公表し、酒の提供禁止を命令できる内容とする方向だ。
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沖縄はなぜ、かくも長きにわたって、飲酒絡みの事故の汚名を返上できないのか。
夜型社会であることや鉄道がなく車社会を形成していること、酒に寛容な風土などの要因が絡まっているに違いない。そんな中で、警察の取り締まりを強化するだけでは限界があろう。
飲酒運転の摘発者にアルコール依存症の検査を義務付ける「福岡方式」を取り入れ、県条例の改正を検討してもらいたい。各職場においては飲酒運転に厳しく対処し、「飲酒運転は犯罪である」との社会的機運を高めてほしい。