増える精神科・減る産婦人科や小児科、外科…医療施設の数などをグラフ化してみる(2011年版)

コラム2013/01/02(水) 18:01 
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  先に救急車周りの記事を書き上げた際に、【増える精神科・減る産婦人科や小児科…医療施設の数などをグラフ化してみる(2010年版)】のデータを参照した。この記事について現時点では【平成23年 <2011> 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況】の通り、2012年11月20日に最新版の値が公開されていることが分かった。そこで今回はそれらを反映させ、各種グラフなどの更新を行うことにした。
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  今回も前回同様、診療科はメジャーなものに特定して抽出する。また病院と診療所などの違い、さらには「有床」「無床」についての用語解説は次の通りとなる。

●病院
医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所であって、患者20人以上の入院施設を有するものをいう。

●一般診療所
医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所(歯科医業のみは除く)であって、患者の入院施設を有しないもの又は患者19人以下の入院施設を有するものをいう。

●歯科診療所
歯科医師が歯科医業を行う場所であって、患者の入院施設を有しないもの又は患者19人以下の入院施設を有するものをいう。

●「有床」と「無床」
1床でもベッド(病床)を有する診療所は「有床診療所」。入院施設を持たずに診療のみを行う診療所は「無床診療所」。
まずは医療施設の推移。

  「歯科診療所」、いわゆる歯医者さんは相変わらず多い。「歯医者が過剰」という話はよく耳にするが、実際都心部など人口密集地帯で検索すると、雨後のタケノコのように、地図の上に歯医者が表示される。全国で7万件近く、一般病院数の8倍近くに達しているという結果には、その多さを再認識させられる。

  一方、病院数の数は漸減。この数年に限っても、前年比はマイナス値を維持している。診療所の数そのものも2011年には減少に転じており、さらに無床診療所の割合が増加、入院が可能な有床診療所は大きく減少している。人口の漸減、医療技術の進歩で入院日が短くなる(入院の必要の無い手術も増えてきた)一方で、診察と処方せんを書いてもらうのがメインとなる、高齢者を筆頭とした通院患者が増えたことなど、状況・需給の変化に沿った動きともいえる。

  続いて一般病院における診療科目数の変移。これは重複した値となっている。例えば小児科・産婦人科を兼ねる病院があれば、それぞれの診療科で1つずつカウントしている。絶対数の値も手元にはあるが、今件ではむしろ変移を見るのが主旨なので、前回同様にデータ上一番古い1987年の値を1とした場合の変移の折れ線グラフと、同じく20余年間に渡る変化によって生じた変化率を元に生成した。

  前回の記事以上に精神科の増加が目に留まる。元々日本には少なかったことに加え、需要の増加に伴い供給数も増加している実情に合わせたものと考えられる。ちなみに具体数は2011年時点で1611。産婦人科の1239よりは多いが、眼科 <2464> や小児科 <2745> などと比べれば少ない。

  一方、子供と深いかかわりのある診療科の小児科や産婦人科は、病院の診療科としても減少の一途をたどっているのが分かる。特に産婦人科は減少率が4割を超えており、確実に少子化のスピードを上回っている。出産予定の人が、産婦人科の予約を取るのに難儀する話は冗談でも何でもないことが、あらためて認識できる。いわゆる「懐妊が分かった時点で出産の予約をしないと間に合わない」という冗談まがいの話が、冗談でも何でもないというのが実情。

  少子化問題では、産婦人科の減少問題をいかに解決していくかも重要な要素となる。「出産できる環境が無いから子供はあきらめよう」という考えは、経済的な問題以外に医療面でも大きな要因となる。医療現場の責任と保護の観点も合わせ、人口や潜在患者数の減少以上に減っている診療科への対応は、社会福祉という観点でも重要な課題として挙げられるに違いない。(情報提供:Garbagenews.com)

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