話題のキーワード

社説

朝日新聞社説のバックナンバー

 大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去90日分の社説のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。

2013年1月10日(木)付

印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

中国の検閲―言論の自由とめられぬ

共産党による一党独裁が続く中国で、言論の自由を求める声が強まっている。処罰を恐れずに声を上げた記者たちの志や、市民の勇気に心から敬意を表したい。他方、それを抑えこもうと[記事全文]

東京五輪招致―成熟都市と誇るなら

2020年の五輪・パラリンピック招致の国際広報活動が解禁された。東京はイスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)と争う。開催都市は9月7日の国際オリンピック委員会[記事全文]

中国の検閲―言論の自由とめられぬ

 共産党による一党独裁が続く中国で、言論の自由を求める声が強まっている。

 処罰を恐れずに声を上げた記者たちの志や、市民の勇気に心から敬意を表したい。他方、それを抑えこもうとする中国当局の振る舞いは、強い非難に値する。自由を求める声は弾圧で消せるものではないことを、知るべきである。

 発端は、広東省を拠点とする週刊新聞「南方週末」の新年特集号に掲載された記事が、多くの記者が知らぬうちに当局の指示で書き換えられたことだ。

 怒った記者らが、もとの文章をインターネットで公開し、当局を批判した。賛同の声がうねりのように広がった。

 支援はネット上にとどまらなかった。大勢の市民がこの新聞の本社前に集まり、当局に抗議した。デモが厳しく管理されている国で異例だ。

 他のメディアにも、連帯する動きが出た。北京の「新京報」は、宣伝部の意向に沿った別の新聞の社説を転載することに、記者たちが抵抗した。

 中国では、メディアは党や政府の代弁者と位置づけられている。当局による報道内容への介入は普段から行われてきた。それでも、今回の書き換えは記者たちの我慢の限度を超えたのだろう。

 共産党中央の宣伝部は「海外の敵対勢力が介入している」として、引き締めを始めた。南方週末を支援した活動家が「国家政権転覆扇動罪」の疑いで拘束されたとの情報もある。

 経済成長のかげで貧富の格差が急速に広がり、市民の間で不公平感は大きく膨らんでいる。共産党には、報道を統制しないと政権の足元が揺らぎかねないとの不安がある。

 だが、短期的に引き締めの効果が出たとしても、ネットの発達で情報の量は激増し、自由な言論への欲求が強まることは押しとどめられまい。

 習近平(シーチンピン)総書記は就任直後の12月に広東省を訪れ、改革開放に力を入れる姿勢を打ち出した。過度な接待を戒め、会議の簡素化を呼びかけるなど、党の体質を変えるよう求めてもいる。

 「中国の夢 憲政の夢」。それが、南方週末の書き換え前の記事の題だった。

 人治が横行し、法がおろそかにされがちな現状への批判と受け止められたようだ。だが憲法の重視も、習氏自身が強調していたことではないか。

 今回の事態は、党の生き残りをかけて変化を訴える習氏の言動が本物なのか、うわべだけなのかを問いかけている。

検索フォーム

東京五輪招致―成熟都市と誇るなら

 2020年の五輪・パラリンピック招致の国際広報活動が解禁された。

 東京はイスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)と争う。開催都市は9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まる。

 東京は会場の約8割が半径8キロ圏に収まるコンパクトさや、4千億円強の開催準備基金が売りだ。猪瀬直樹都知事はいう。「東京は世界をリードするトレンドの中心で、世界でも類を見ない安全性を誇る」

 昨夏、3度目の開催だったロンドン五輪が称賛されたのにならい、「成熟都市」の強みで、IOC委員を口説きにかかる。

 しかし、招致レースは単純に開催能力の優劣を争うわけではない。

 前回の16年大会招致でも、東京は「安全、確実な運営」を打ち出し、計画自体は高く評価されながら、勝者は「南米初」を掲げたリオデジャネイロ(ブラジル)だった。

 1964年の東京五輪が「アジア初」だったように、IOC委員は伝統的に「初めて」という大義名分に心ひかれる。

 その点では、経済成長が著しく、5度目の挑戦で「イスラム圏初」の悲願をかかげるイスタンブールが有力視される。

 東京はどんな「物語」をかたるべきだろうか。

 震災からの復興の後押しや、雇用創出、3兆円の経済効果などは国内向けの理屈で、200余の国と地域が集うスポーツ大会の理念としてはインパクトに欠ける。

 日本ならではの大胆な発想があっていい。

 IOCは子どものスポーツ離れを食い止めようとユース五輪を創設した。では例えば、五輪会場を利用して、シニア世代が集う「マスターズ五輪」の開催を提唱してはどうだろうか。

 日本は60歳以上の人口が3割を超える唯一の国だ。世界的にも、50年には60歳以上が20億人を超し、15歳未満を上回るという。シニアの競技人口はこれから激増する。

 トップアスリートだけではなく、お年寄りや障害者など幅広い層が身近にスポーツを親しめる先進都市を掲げて、街のバリアフリー化や老朽化した競技施設の改修を進める。

 同時に、直下型地震に備え、ハード、ソフトの両面で災害に強い都市づくりを急ぐ。

 東京が招致に向けて取り組むべきテーマは、猪瀬知事が掲げる「成熟都市」と広く認められるために、乗り越えなければならない課題でもある。

検索フォーム

PR情報

注目コンテンツ

  • ショッピングお気に入りの音楽を

    Bluetoothで自由に楽しむ

  • ブック・アサヒ・コム誰も知らない秘境に行きたい

    一生に一度だけの旅 BEST500

  • &M大人の楽しみ、モーターサイクル

    40〜60代に再ブームの兆し

  • &w我が家の包丁に「切れ味」

    研ぎ教室で食材の味が変わった!

  • どらく今週は「えべっさん」

    パワースポットを訪ねる関西旅

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014