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'12/11/10

韓国の参加は困難 青森・六ケ所の再処理「国際化」


 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、韓国など海外の使用済み核燃料を再処理する「国際化」構想について、韓国を代表する原子力専門家の張舜興チャンスンフン前韓国原子力学会会長(韓国科学技術院教授)は10日までに「核不拡散の観点から、ためらいがある」と述べ、韓国の参加は困難との見方を示した。ソウル市内で共同通信のインタビューに応じた。

 六ケ所再処理工場の国際化は将来、韓国やベトナムなどの使用済み燃料を処理して返還する構想。今年5月、民主党の細野豪志政調会長(当時は原発事故担当相)の私的検討会が提唱し、先行きが不透明な日本の再処理路線の生き残りを図る選択肢として注目を集めたが、張氏の発言は、同構想の実現への道が険しいことを示した。

 張氏は韓国の原子力政策に影響力がある重鎮で、日本政府の福島第1原発事故調査・検証委員会(政府事故調)に助言する国際専門家も務めた。

 張氏はインタビューで、再処理で抽出するプルトニウムの核兵器への転用を防ぐ観点から、六ケ所工場の再処理方式には問題があると指摘。さらに「輸送など多くの問題を考えないといけない。コストの問題もある」と述べ、再処理した燃料を国際輸送する場合の安全面の懸念や、コスト高との見方からも、韓国を巻き込んだ国際化構想に否定的な見解を示した。

 2014年に期限を迎える米韓原子力協定の改定交渉に関し、張氏は「米韓は、新協定の発効後10年間『パイロプロセシング』と呼ばれる再処理方式を共同研究することで合意した」と語った。この方式は、六ケ所工場の技術と異なり、プルトニウムとアメリシウムなど他の物質の混合体を生成する処理で「核不拡散上の利点がある」と説明した。

 また「23年に韓国内で使用済み燃料の貯蔵場所がなくなる」と述べ、使用済み燃料の減量化が再処理研究の主な理由であることを明らかにした。




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