全羅南道光陽市の小学校の警備室で、女子中学生に対し、9カ月にわたり常習的に性的暴行を加えたとして逮捕された警備員の男(70)が、窃盗など12の前科があることが分かり、前科者の採用をめぐって論議を呼んでいる。
男は業務請負会社を通じ、昨年3月に警備員として小学校に着任したが、学校側は男が前科者という事実すら把握していなかった。現行法上、学校や学習塾など児童や未成年者を対象とする教育機関では、警備員を採用する際に「全ての犯罪」ではなく「性犯罪」の前科の有無だけを照会できることになっている。学校側が業務請負会社から受け取った男の個人情報を基に、警察に前科の有無を照会しても、前科の記録がないとされたのはこのためだ。
事件が報じられた今月7日以降、保護者はもとよりインターネット上でも「学校は子どもたちのための場所であるだけに、前科者が勤務することを認めてはならない」と指摘する声が相次いでいる。小学校3年生の娘を持つチョ・インエさん(39)は「前科者を学校の警備員に採用するというのは、犯罪が発生する危険がありながら放置するに等しい。全ての犯罪の前科について、学校や保護者が知る権利がある」と話した。
問題はこれだけではない。性犯罪の前科がありながら、学校の警備員に採用され、堂々と勤務していたというケースもある。蔚山市では2010年、わいせつ行為の前科がある小学校の警備員(当時61歳)が、6年生の女子児童にわいせつな行為をしたとして立件された。この警備員は、別の小学校に勤務していた04年、1年生の女児にわいせつな行為をしたとして起訴され、執行猶予付きの判決を受けていた。「児童・青少年の性の保護に関する法律」により、06年以降、学校は職員の性犯罪の前科について照会するようになったが、この警備員はそれ以前に採用されていたため、前科の照会の対象から除外されていた。
主婦イ・ジョンヒさん(53)は「普通の職場では前科者の人権も尊重しなければならないが、子どもたちが通う学校の場合は、職員を採用する際に前科を照会する範囲を広げる必要がある」と指摘した。
米国や英国では、韓国に比べ厳格な規定を設けている。米国アーカンソー州は性犯罪者だけでなく、窃盗や暴行などあらゆる犯罪の前科者が教育機関に勤務できないよう定めている。またペンシルベニア州も、公立、私立を問わず、全ての学校の職員について犯罪の経歴を照会するよう定めている。
東国大警察行政学科のクァク・テギョン教授は「子どもたちの安全に対し責任を持つ学校の職員に、窃盗や暴行などの前科があるということは問題だ。性犯罪だけでなく、主な犯罪について前科の照会が可能になるよう、法律を改正する必要がある」と指摘した。