教育虐待:勉強できる子になってほしい……過剰な期待

毎日新聞 2012年08月23日 東京朝刊

 ◇成績不振を罵倒、体罰 不景気、就職難で親に危機感

 「勉強のできる子になってほしい」という親の期待が過剰になり、子どもを苦しめる「教育虐待」という考え方が広がっている。「将来のために」と勉強させることがなぜ虐待につながるのか。専門家に聞いた。【鈴木敦子】

 民間子どもシェルター「カリヨン子どもセンター」(東京都文京区、坪井節子理事長)に数年前の夏、有名女子高に通う少女が逃げ込んできた。「家に帰りたくない、母に殺される」と訴えた少女は裕福な家庭で育った。両親ともに高学歴、母の期待通りの成績を取れないと何時間も罵倒され、食事を抜かれ、睡眠を禁じられることもあったという。受験を控えて母親の干渉が度を越し、耐え切れなくなって家を出た。弁護士や児童相談所が間に入って交渉した結果、少女は初めて自分で進路を選び、シェルターで暮らしながら大学を受験した。

 同センターは、親の虐待やネグレクトに遭いながら、児童福祉施設では緊急対応できない子どもを保護するために04年に開設された。複雑な家庭環境や経済的な問題を抱えた子が多いが、近年は「表向きは何の不自由もなさそうな」家の子どもが増えたという。

 これまで対応した延べ217人のうち、約10人が親から過剰な教育を強いられていた。「親が意のままに子どもを操ろうとし、勉強の成績でしか子どもの存在価値を認めない」というケースだ。同センターはこれらを「教育虐待」とみて改めて事情を調べている。

  ◇

 「極端な教育ママ」に育てられたという心理カウンセラーの西濱順子さん(46)は、今も心の傷が癒えないでいる。

 私立の名門幼稚園の参観日。聖書の一節を読む場面で先生が「分かる人?」と尋ねた時、挙手しなかったことを母に強く責められた。何度もたたかれ、けられた。

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