
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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新年早々見つけたホンダの驚きの記事
新年早々に日経新聞を読んでいて、驚きのニュースを見つけた。1月5日の一面に「ホンダ、部品費3割減―主力3車種、共通化 240万台分」と出ていた。さらにコスト削減をするというのか……自動車業界は、トヨタ式と呼ばれ多くの書籍が出版されるくらいマネジメントや、部品調達などかなりの効率化が計られているイメージがある。それでもまだホンダにはコストを削減する余地があるということなのだろうか?
記事を読んでみると、今まで以上に部品の共通化を行い、新興国での低価格競争に対応するという。また、カーエアコンなどは部品メーカーに仕様だけを提示して、設計・開発や組み立ては任せると言う。つまりオーダーで製造して調達するのではなく、仕様に合ったものを調達するのであって、部品メーカーの既製品でも仕様に合っていればそれを採用する可能性も出てくる。
そうなると、大手の部品メーカーで多くの種類と在庫を確保できる企業に、発注が集中することになるのではないだろうか? 記事にも「発注元も見直し、新興国を含めた各地で部品を供給できる世界大手との取引を拡大する。独ボッシュやデンソーなど大手30社程度の発注比率を20年に40%と、11年の16%から大幅に高める。」とある。ホンダを支えている日本の部品メーカーも、今年は取引を見直される可能性があるだろう。
部品メーカーはこれまでも互いが競争して負ければ、吸収合併されるなど淘汰が進んでいた。さらに、大手企業に部品が集中することになれば、今まで純正部品として製造していた仕事がなくなり、存続するには部品メーカーのさらに下請けを行うか、違う部品を生産するのだろうか?
政治も政権が代わり変化が期待されているが、グローバル化によってホンダの取引先は新年早々に、大きな見直しを迫られるということなのだろう。最新号のメルマガでは、更なるグローバル化という流れで、新興国市場を目指す自動車業界について分析している。
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