【社説】「大学休学者100万人」の意味を理解せよ

 韓国の大学生298万8000人のうち、31%に当たる93万3000人が大学を休学しているという。大学院・放送通信大学など高等教育機関全体で見れば、休学者数は110万4000人に達する。在籍する学生の47%が休学している大学や、学生の83%が休学している学科もある。

 大学の休学者の比率は、1997年のアジア通貨危機後に30%を超え、それ以来下がることはなく、休学者の人数も90万人を下回ったことがない。今や大学は、5-6年かけて通うべき場所に変わってきているのだ。

 大卒者の就職率が60%に満たず、企業が提供する「安心の雇用」はなかなか増えない。このため、休学してTOEFL(英語を母語としない人のための英語能力試験)やTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)の成績をはじめ各種の資格、受賞実績、インターン経験、海外語学研修といった「就職に有利な能力・経験」を積み上げることが、大学生活上必須のコースになった。企業側でも、入社志願者にこうしたさまざまな能力や経験を要求するケースが増えており、大学生は、大学でいい成績を挙げるだけでは就職できないと信じるようになった。

 大学生の68%が、学資金貸与などで平均1300万ウォン(約99万円)程度の借金を抱えて社会に出る。高額の授業料や生活費を賄うため、1-2年置きに1学期休学し金を稼ぐ学生は、4人に1人という割合だ。卒業後すぐに就職できず空白期間ができると、就職のチャンスを一層つかみにくくなるという危機感から、卒業を遅らせる「卒業猶予族」も多い。この種の休学者は、事実上の失業者でありながらも、青年失業者統計には反映されない。

 韓国の若者が経済活動を始める年齢は平均25歳で、大卒者の場合は27歳だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(22.9歳)に比べ、2-4年遅く活動を始めている。休学者が増えれば、若者の社会参加時期は一層遅くなり、就職が遅くなれば、結婚の時期も遅れ、少子化も一層深刻になる。休学者の半数は生活費を保護者に依存している、という統計結果もある。老後が不安な親の世代は、新たな負担を抱えるという事態になっている。

 韓国の大学生は、1970年代には16万8000人だったが、今では300万人に達する。96年に大学設立が自由化された後、大学生の数は100万人以上急増した。このとき、現在の休学者数に相当する100万人の大学生が新たに生まれた。先のことを考えない大学政策が、韓国社会に大きな負債を抱え込ませたわけだ。政策を完全に見直さなければならない。企業側が能力・経験や卒業時期といったものを要求するのも、賢明な採用政策とはいい難い。大学生の3人に1人が休学するという異常事態が、韓国そのものを異常な状態に追いやっている。「大学の休学者100万人」の意味は、決して単純ではない。

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