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「庶民のマグロ」日本が守ろう

2013/1/9付
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 今年の初セリで1匹1億5千万円を超す史上最高値を記録したクロマグロは、上質なトロがとれるためもっとも値段が高い。一方、価格が手ごろなのがメバチだ。その「庶民のマグロ」の資源減少が危惧されている。

 世界のメバチ漁獲量はキハダに次いで多く、クロマグロの10倍を上回る。ただ、主漁場である太平洋域の現状はとりすぎで、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の科学委員会が繰り返し漁獲抑制を求めている。

 日本などがさし身用のメバチをとるはえ縄漁は、すでに2009年から漁獲量を3割削減している。問題は未成魚を含む魚群を丸ごととり、缶詰の原料を供給する巻き網漁の規制が甘いことだ。

 WCPFCに加盟する日米欧など24の国と地域が、昨年12月の年次会合で資源の回復計画を今年中につくることで合意したのは前進だ。だが、漁獲枠や巻き網漁船数の制限など具体案はまとまっておらず、課題が残った。

 2000年前後から急速に増えた大型巻き網漁船の多くは、台湾などの企業が資金を出し、パプアニューギニアやマーシャル諸島など島しょ国の船籍でつくる。とったメバチやカツオはタイなどで缶詰に加工され、欧米や新興国市場に向かう。

 缶詰の需要は旺盛で、島しょ国にも大きな利益をもたらしている。多くの国の利益がからむ巻き網漁で厳格な規制策をまとめ、確実に実行することは容易でない。

 しかし現状を放置すれば資源の減少は続く。三陸沖のメバチ漁獲量が減るなど日本への影響も出ており、踏み込んだ対策は急務だ。大西洋・地中海産クロマグロのように生物保護を目的とした禁輸の提案につながる可能性もある。

 効果的な漁獲規制の導入には、島しょ国に資源を持続させる重要性をわかってもらう努力が欠かせない。クロマグロの教訓をいかし、日本が各国を規制の合意に導かなければ、メバチも庶民の口に入りにくくなる。

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クロマグロ、メバチ漁獲量、WCPFC、マグロ、中西部太平洋まぐろ類委員会

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