トップページWEB特集

WEB特集 記事一覧

  • 読み込み中

RSS

WEB特集

イプシロンに注目! 新年の宇宙

1月4日 17時55分

小暮大祐記者

去年は、星出彰彦さんの3度の船外活動や、海外から受注した衛星の初めての打ち上げなど、話題に事欠かなかった日本の宇宙開発。
ことしはどんな動きがあるのでしょうか。
科学文化部の小暮大祐記者が解説します。

「イプシロン」に注目!

まず、1番の注目は、夏ごろ打ち上げが予定される新型ロケット「イプシロン」です。

ニュース画像

JAXA=宇宙航空研究開発機構が開発を進めている小型の固体燃料を使ったロケットで、打ち上げコストが高いことなどを理由に7年前に廃止された「M5ロケット」の技術を受け継いでいます。
打ち上げ費用は、日本の主力ロケット「H2A」のおよそ3分の1の38億円程度と安く抑えるのが特徴で、コスト削減のため、打ち上げ前の点検作業をコンピューターで行う新しいシステムの導入も検討されています。
日本はこれまで、去年の韓国の衛星1機だけしか、海外の衛星をビジネスとして打ち上げていませんが、「イプシロン」の導入で、受注の増加につながることが期待されています。

ニュース画像

日本人初の「船長」

そして、もう1つの注目は、ことしの終わりごろ、自身4度目の宇宙飛行に挑む若田光一さんです。

ニュース画像

ロシアの宇宙船「ソユーズ」で国際宇宙ステーションに向かい、半年程度、滞在する予定ですが、最後の2か月間ほどは、日本人として初めて、宇宙ステーションのコマンダー、つまり「船長」を務めることになっています。
宇宙ステーションの「船長」は、すべての乗組員を束ねる総責任者で、緊急事態が起きた際には、各国の宇宙飛行士を指揮する極めて重要なポストです。
これまで「船長」を務めたのは、アメリカとロシア以外ではベルギーの飛行士だけで、晴れ舞台での活躍が期待されます。

ニュース画像

情報収集衛星も

また、このところ、18機連続で打ち上げが成功している日本の主力ロケット「H2A」と「H2B」は、ことしから来年3月までの間に合わせて4回の打ち上げが予定されています。

ニュース画像

まず、最初の打ち上げは1月下旬。
「積み荷」は情報収集衛星です。
情報収集衛星は、15年前、北朝鮮のミサイル発射をきっかけに政府が導入した、安全保障に関する情報などを集める事実上の偵察衛星です。
高性能のカメラで地上の様子を撮影する「光学衛星」と、夜間などに、電波を使って撮影する「レーダー衛星」の2種類があり、今回、打ち上げるのは「レーダー衛星」です。
政府は、地上のあらゆる地点を1日に1回以上撮影できる態勢を整えるため、これらの2種類の衛星を2機ずつ運用することを計画してきました。
過去には打ち上げの失敗や衛星の故障などがあり、計画の実現は遅れていましたが、今回、打ち上げが成功すれば「レーダー衛星」も2機そろうことになり、ようやく態勢が整うことになります。
ほかのH2Aの打ち上げでは、災害の状況把握などに使う観測衛星や、雨の降り方などを調べる衛星が搭載される予定です。

ニュース画像

「はやぶさ2」の予算は?

一方、2010年に日本中に感動を巻き起こした「はやぶさ」。
来年にはこの後継機「はやぶさ2」が打ち上げられる計画です。
来年度予算案の概算要求では、114億円の開発費が計上されていますが、国家財政が厳しさを増すなか、宇宙関連の予算も優先順位づけが必要とされています。
来年中に打ち上げないと、目的地の小惑星に到達するのが困難になるため、「はやぶさ2」の開発費が要求通りに認められるかどうか、日本の宇宙関係者は固唾を飲んで見守っています。