再生の原風景 渡良瀬
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【社会】おしゃれ現役 語り合おう VAN愛好家 青山に「しゃべり亭」開店
いくつになっても、おしゃれや人生を楽しみたい−。1960〜70年代、若者に流行した「アイビー・ファッション」。当時の人気ブランド・VANを手がけたヴァンヂャケット社の元社員やファッション愛好家らが語り合う「しゃべり亭」が7日、東京・青山にオープンした。勤めを退いた元おしゃれ少年たちを中心に、交流を深める場になっている。 (中山岳) 「仕事を定年し、外出が減った人もいる。現代はメールやインターネットで便利になったが、会って交流する関係を大切にしたかった」 青山の表参道から一本道を入った場所にあるファッションディレクター石津祥介さん(77)の事務所内に開設されたしゃべり亭。狙いを祥介さんが話した。 日本のファッション史に多大な影響を与えたのがヴァンヂャケットだ。創業者は祥介さんの父で、「日本メンズファッションの神様」と呼ばれた服飾デザイナー石津謙介さん(一九一一〜二〇〇五)。米国東海岸の大学生たちの服装をモデルにVANのボタンダウンシャツや金ボタンのブレザーなどを日本で紹介した。 ブランドは当時の若者の憧れの的になり、アイビーやトラッド(伝統的)と呼ばれる着こなしが広まった。同社は一九七八年に倒産したが、元社員らが八一年に再建。石津さんが提唱したファッションスタイルは今も愛好者が多い。 しゃべり亭を運営するのは、元社員や愛好者らでつくる「ボタンダウンクラブ」。クラブは設立十一年目で、全国に約千五百人の会員がおり、平均年齢は六十五歳ほど。会長が石津さんの長男の祥介さんだ。 しゃべり亭は毎週月、木曜に事務所の十席ほどで開く。席料は決まっておらず、参加者は寸志を募金し、コーヒーやお茶はセルフサービスだ。 七日は金ボタンのコートや、伝統的な千鳥格子のスーツなどを着た会員六人が訪れ、近況報告やファッションの話で盛り上がった。ヴァンヂャケットの元社員でマーケティングコンサルタントの軽部欣一さん(69)=世田谷区=は「ヴァンはファッションに光をあてて一つの時代をつくった」と懐かしむ。和菓子店経営の梅津健治さん(63)=目黒区=は「おしゃれを楽しみ、和やかに話せて楽しい」。 祥介さんは「いくつになってもおしゃれをして、外に出て、人生を楽しんでほしい。しゃべり亭では、世間話で良いから、人付き合いを楽しんでほしい」と願っている。 <アイビー・ファッション> 米国東部にある八つの名門私立大学の連盟「アイビーリーグ」の男子学生たちの服装をもとに、石津謙介さんが提唱した着こなし。ボタンダウンシャツ、三つボタンのブレザー、ポロシャツ、細めのズボンなどが定番。日本では1964年、銀座のみゆき通りに集まる若者たちが「みゆき族」と呼ばれ、社会現象になった。 PR情報
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