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世界最大アルマ望遠鏡 本格観測開始へ
1月5日 16時42分

世界最大アルマ望遠鏡 本格観測開始へ
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南米・チリの高地で、日本などが参加して建設が進められている世界最大の電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」では、今月、アンテナの数をこれまでの2倍以上に増やして本格的な観測が開始されることになり、宇宙の謎の解明につながるさまざまな成果が期待されています。

「アルマ望遠鏡」は、南米・チリの標高5000メートルの高地に66台のパラボラアンテナを並べて観測を行う世界最大の電波望遠鏡で、日本と欧米の共同プロジェクトとして建設が進められています。おととし、16台のアンテナを使った初期観測が始まりましたが、その後、新たにアンテナが完成したことから、合わせて43台を使った本格的な観測が、今月から始まることになりました。
電波望遠鏡は、天体などが発する微弱な電波を観測しますが、アンテナの数が増えたことで感度は従来の2.5倍となり、惑星が誕生する瞬間をこれまでにない鮮明さで捉えることができるようになるほか、生命の元となるアミノ酸などの有機化合物を宇宙空間で観測できる可能性も高まるということです。
日本からプロジェクトに参加している国立天文台は「本格観測の開始から4、5年のうちに、これまでの常識を覆す成果が出ることを期待している」と話しています。

アルマ望遠鏡とは

アルマ望遠鏡は、2002年から日米欧の共同プロジェクトとして、南米・チリの北部にある標高およそ5000メートルのアタカマ高地で建設が進められています。年間の降水量が100ミリ以下と晴天が多いことや、広い平たんな土地があり、たくさんのアンテナを設置しやすいことなどから、建設地として選ばれました。
アルマ望遠鏡は、すべて完成すると直径12メートルのアンテナ54台と、直径7メートルのアンテナ12台の合わせて66台で構成されることになります。
このうち、先行して完成した16台を使った初期観測が、おととしから始まっています。これまでの1年余りの初期観測では、地球から25光年離れた恒星を取り巻く細いリング状のものを捉えたほか、寿命を終えようとしている星が、宇宙空間に爆発的に放つガスなどの観測に成功しました。また、4日、新たに地球からおよそ450光年離れた惑星にガスが流れ込む様子も公開されました。
プロジェクトに参加している日本の国立天文台によりますと、こうした初期観測の成果は、未発表のものも含めて合わせて17本の学術論文にまとめられるということです。
一方、今月から始まる本格観測では、これまでの2倍以上に当たる43台のアンテナが使用され、電波を受信する望遠鏡の感度は2.5倍に高まります。新たに完成したアンテナのうち、より精度の高い16台は日本が制作を担当したもので、日本語で「いざよい」という愛称もつけられています。
最終的に66台のアンテナが完成し、すべてを使った観測が始まるのは、1年後の2014年1月ごろになる見通しです。66台のアンテナは直径18キロメートルの広い範囲に配置され、宇宙の細かい部分までスピーディーに観測できるようになるため、宇宙の謎に迫るさまざまな成果が期待されています。

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