“日本海の大規模地震”検討会1月8日 18時53分
20年前の北海道南西沖地震など、過去に津波を伴う大地震が起きている日本海で、今後、防災対策を進めるうえで、どのくらいの規模の地震を想定すればよいのか、国の検討会が8日から始まりました。
おととしの巨大地震を受けて、想定する地震の規模がどこまで大きくなるのかが焦点になります。
この検討会は、日本海側の自治体の津波対策を進めるために国土交通省が開いたもので、地震や津波の専門家、それに国の担当者が出席しました。
北海道から新潟県の日本海沖では、北日本などが載ったプレートとユーラシア大陸が載ったプレートの境界があると考えられていて、過去に津波を伴う大地震が各地で起きています。
平成5年にはマグニチュード7.8の北海道南西沖地震で津波が発生し、奥尻島などに大きな被害をもたらしたほか、津波は西日本の日本海側沿岸や韓国などにも到達しました。
昭和58年の「日本海中部地震」でも、津波は日本海全体に広がりました。
このため国は、過去の地震活動などから10年前に北海道から新潟県沖の日本海で8つの震源域を設定し、想定される地震の規模をマグニチュード7.5前後から7.8程度と公表しましたが、東日本大震災では、これまで別々に動くと考えられてきた複数の震源域が一度にずれ動き、マグニチュード9もの巨大地震となりました。
このため会合では、地層に残された津波の堆積物の調査など、最新の研究を基に複数の震源域が連動する可能性についても検討し、想定する地震の規模をことし3月をめどに公表することにしています。
座長を務める東京大学の阿部勝征名誉教授は、「日本海側で起きる地震は、太平洋側に比べて陸で近い場所で起きるため、津波が早く到達するうえ、地形から地震の規模の割に津波が高くなる傾向がある。過去の地震が少なく規模を推定するのは非常に難しいが、ひとたび地震が起こると大きな被害が出るため、今後の防災対策に役立つよう検討を急ぎたい」と話しています。
地震の想定 自治体ごとに異なる現状
今回、国が検討を始めた背景には、東日本大震災をきっかけに防災対策の見直しを進める日本海側の隣接する自治体で、想定する地震が大きく異なる状況があります。
東日本大震災を受けて、国は、南海トラフについて複数の震源域が連動するとして、地震の想定をマグニチュード9に見直しました。
しかし、日本海側では10年前に北海道から新潟県の沖合の8つの震源域で、マグニチュード7.5前後から7.8程度の地震が想定されると公表して以来、見直しは行われていませんでした。
このため沿岸の自治体は独自に見直しを進めていて、たとえば秋田県では、想定する地震の規模をこれまでマグニチュード7.7としていましたが、青森県から新潟県の沖合の複数の震源域が連動するとして、最大でマグニチュード8.7程度の津波の浸水想定を発表しました。
一方、隣の山形県では連動するとはしないで、震源域を新潟県から山形県の沖合にして最大でマグニチュード8.5に見直しました。
隣り合う自治体で地震が想定が大きく異なり、一部の自治体から、国に「国としての見解を示してほしい」という要望が寄せられていました。
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