TPP:交渉参加表明、首相見送り 訪米も2月に延期
毎日新聞 2013年01月08日 02時30分
安倍晋三首相は、近く予定している米国訪問時に、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加表明を見送る方針を固めた。事前協議の加速化などの意向を示すにとどめる。首相は1月の訪米を調整していたが、オバマ米政権の閣僚人事の全容が固まらず、歳出削減に関する米政府と議会の協議も続いていることから、2月にずれ込む見通しとなった。同月9〜11日の3連休とする案が浮上している。
TPPの早期交渉参加には政府・自民党内で慎重論が根強い。政府高官は7日、「TPPは訪米の条件にはなっていない」と指摘した。首相は就任当初から慎重に対応を見定める姿勢を示しており、米国、党内双方と調整を続ける。
首相は7日の東京都内の会合で「同盟関係強化のため、今年の早い時点で訪米したい」と意欲を示す一方で、「(米側は)大統領就任式、一般教書演説、財政の問題もあるので、幅広く日程を考えている」とも述べた。
一方、首相は7日、来週半ばにベトナム、タイ、インドネシア3カ国を訪問する方向で調整に入った。首相は就任後初の外遊を米国としたい考えだったが、結果的に米国以外となる。
首相は日中関係の改善と同時に、日米同盟の強化や中国を囲むアジア諸国との連携による対中包囲網の構築を目指している。岸田文雄外相も9日からフィリピン、ブルネイなどを歴訪する予定で、首相は岸田氏と手分けしてアジア外交を強化する考えだ。
また首相はスイスで23〜27日に開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)への出席を見送ることを決めた。
【鈴木美穂、影山哲也、吉永康朗】