←HOME

労働新聞 2012年11月26日 第2898号

ニュース

1カ月未満は「空白期間」に当たらず――厚労省が改正労契法で通達

厚生労働省はこのほど、改正労働契約法の運用基準を都道府県労働局長に通達した。同法第18条第1項の労働契約期間の通算についての考え方を明確化したもので、具体的には複数の有期労働契約の間に無契約期間が存在する場合の通算ルールなどを示している。原則として、中間に存在する無契約期間がその直前の有期労働契約期間の2分の1未満のときは、「空白期間」と認められず、前後の有期労働契約期間が通算されるとした。通算期間が合わせて5年を超えると、使用者は、無期契約転換を承諾したとみなされる。

個別紛争処理制度の利用促進を――全労委総会

全国労働委員会連絡協議会は11月15~16日、第67回総会を東京都内で開き、労働委員会の活性化に向けて各労働委員会公労使委員が議論した。個別労働紛争が増加するなか、労働委員会の個別紛争解決率の高さを積極的に周知し、利用促進を図るべきとの提案があった。労委と同様にあっせん制度を運用する地方労働局との連携を強化し、労働局のあっせん不成立時に労働委員会へ誘導する仕組みなどが必要とする意見もめだった。

アニメ会社へ集団指導――新宿・池袋労基署合同

東京の新宿・池袋の両労働基準監督署は、アニメ制作会社に対する集団指導を行った。昨年100社あまりに実施したアンケートに基づくもので、36協定(3割)や割増賃金(2割)など労働時間関係を中心に違反回答がめだった。アニメーターの長時間労働やサービス残業が懸念されることから、適正な労働時間管理に加えて医師面接などの過重労働対策に取り組むよう指示している。

労組

勤務医の実態 「法が許す宿直」わずか15%――全国医師ユニオンなど調査

勤務医のおよそ9割に交替制勤務がなく、労働基準法が許す「ほとんど通常業務がない」宿直はわずか15%――全国医師ユニオン(植山直人代表)などの調べで明らかになったもので、「時々」も含めた4割弱の勤務医が「辞めたい」と思っている実態が分かった。宿直の85%は通常業務を頻繁に行う時間外労働に当たるとみられるが、時間外手当を全額請求しているのは3割のみで、請求できる時間に上限があったり、時間外手当そのものがないなど、労基法違反が蔓延している。

賃金

国内外で人事考課制度を統一――(株)アドバンテスト

(株)アドバンテスト(東京都千代田区、松野晴夫社長)は、国内外で共通となる人事考課制度の枠組みを固めた。今年4月に導入した資格体系に続き、評価手法や昇格管理についても世界統一を進めてきたもので、行動評価と実績評価を併用していた旧制度を廃止し、目標管理制度と6つの行動原則に則って評価する手法へ一本化する。各国の法人間でバラバラだった評価ランクの数を5段階に揃え、ランクごとの配分率も共通とした。昇格システムも見直し、直近3年間の考課で候補者を選ぶ方式をやめ、担当する本部長からの推薦のみを要件とするシンプルな手法へ改めている。

追跡レポ

非組合員に労働法講座――連合静岡メイト・未組織労働者支援

連合静岡(吉岡秀規会長)では、「連合静岡メイト」の支援策を拡充している。労働組合に入らなくとも会員(メイト)として参加できる全国初の取組みで、ネットを介した相談対応、情報サービスなどを進めてきた。新たに、会員が直接集まる機会として交流会を実施する一方、学びの場としてNPO法人人財フォーラム(静岡市)と提携した労働法基礎講座を県内3カ所で開催し好評を得た。若年者対策として、大学生対象の就活応援セミナーを学生と若手組合員が密に交流できる少人数単位で実施する〝静岡スタイル〟での開催計画も。2つの施策ですべての社会人と社会人予備群への広範な支援につなげる。

人事学望見

平成27年テレワーカー700万人

雇用契約を結んだ在宅労働者をテレワーカーと呼ぶ。自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態だが、政府はワーク・ライフ・バランスを築く理想形のひとつと位置付け、平成27年度までに700万人としたい、としている。平成23年度は490万人だから急ピッチで普及したい意向だ。職住接近そのものだから、通勤の苦労から解放される。子育てのため退職を余儀なくされるママさん社員の離職を防止し、身に付けた技能やノウハウを生かしてもらう面からも有益と導入企業は異口同音にいう。労働時間は、私的時間と混同するため、把握が困難。そこで、営業社員とおなじく「みなし労働時間制」を適用するケースが圧倒的に多い。もちろん、一般社員と同じく労働法規の適用があり、時間外労働や休憩もセットしなければならないが、テレワーカーの時間配分にまかせた所定労働時間とする「原則みなし」制がとられることが多い。

実務相談

有期契約期間を「リセット」?

改正労契法では、5年を超える有期労働契約の無期転換を義務付けています。ただし、一定のクーリング期間が過ぎれば、5年の計算が「リセット」されるといいます。公布された施行規則の条文を読んだのですが、難解な内容でキチンと頭の中で整理できません。要点をかいつまんで説明してください。