探偵業:ピンチ…関与する事件続発、規制強化で仕事激減

毎日新聞 2013年01月07日 11時43分(最終更新 01月07日 13時35分)

殺風景な事務所で、報告書を作成する探偵=横浜市中区で、飯田憲撮影
殺風景な事務所で、報告書を作成する探偵=横浜市中区で、飯田憲撮影

 探偵を取り巻く環境が厳しさを増している。個人情報の違法入手など相次ぐ事件摘発で規制が強まり、業務の幅が狭まっているためだ。仕事がなくなり大手の下請けに回ったり、離婚訴訟の手伝いを弁護士に頼んだりするケースも。業者間では大手と個人事業主の二極化も進む。悪徳業者が招いた状況だが、探偵たちは生き残りに必死だ。

 「厳しい業界になりましたね」。横浜市内の雑居ビルに事務所を構える40代の探偵はため息をつく。この道20年のベテランだが、ここ最近は、大手から回ってくる浮気調査の下請けばかり。終日電話が鳴らない日もある。

 そんな中、弁護士にあいさつ状を送るのが重要な仕事の一つになっている。離婚訴訟の証拠収集で、時々依頼があるからだ。

 探偵たちは新たな仕事の開拓に懸命だ。企業から市場調査を請け負い、家電量販店の陳列をチェックする業者も。先の探偵は自嘲気味に言う。「業務内容に子供のいじめ調査を掲げる業者が急に増えた。それは『旬』だから。仕事がない業者は何かに引っかけようと考えている」

 「不況」の背景は、業界への規制強化だ。07年の探偵業法施行で一定の資格要件が設けられたものの、探偵の関与する事件が続発した。「別れさせ屋」による殺人事件があったほか、一昨年以降は愛知県警による捜査で、司法書士を通じて警察官の住民票を取ったり、ハローワークや携帯電話販売店から個人情報を入手したりする違法な情報収集の実態が明らかになった。探偵に関する消費生活センターへの苦情も後を絶たない。

 警察庁は昨年7月、業界団体に違法な手段による情報収集の防止を要請し、全国の警察に悪質業者の取り締まり強化を指示した。横浜市を拠点に働く別の探偵(39)は「愛知の事件以降、職歴や車両番号情報を売る『情報屋』とのやり取りは控えている。警察にもにらまれているし。でも1件調査したら数十万円にはなるので、探偵の仕事に群がる人々は多い」と打ち明ける。

 実際に新規の探偵業届け出は毎年1000件近い。一方で廃業届も毎年500件を超え入れ替わりは激しい。警察庁によると、11年末の届け出業者数は5350だ。

 従業員約20人を抱える大手探偵会社の幹部は「届け出業者のうち専業で稼働しているのは4分の1程度」と指摘する。依頼は毎月50件を超え、業界では「勝ち組」だ。

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