日本から来た双子シェフのイタリアンレストラン

材料の原産地表記、独特なメニュー
全国を回り食材発掘、韓国食材だけで料理
輸入食材は鮮度に問題、正統イタリア料理のために新鮮な韓国食材を使用
父の祖国・韓国で店をオープン
「仲間が集まって食事する韓国の雰囲気が好き」
「日本に韓国の野菜を広めたい」

 二人は料理の最初の条件として材料を挙げた。この店の産地表記は、例えば「忠清南道青陽チェ・サンホおじいさんの青陽唐辛子」「全羅南道パク・オクソンおじさんの有機農エゴマの葉」「慶羅北道尚州市咸昌邑シン・ムンチョルおじさんの農場の天然マツタケ」「京東市場ソウル商会のごま油」などとなっている。

 兄弟は全国の農場を回り、自ら食材を発掘する。兄の大さんは09年に日本で「野菜ソムリエ」の資格を取得した。野菜ソムリエとはワインソムリエのように日本の高級スーパーの野菜コーナーで客にどの野菜が新鮮なのか、旬なのかについて、また野菜の洗い方、切り方まで説明し、客の品物選びを手伝う役割を果たす。大さんは「田舎の農場で収穫したばかりのホウレンソウの香りをかぎながら、どんな料理を作ればよいのか考えたりもする」と話した。兄よりも韓国語が流ちょうな弟の太さんは「田舎の農場に行くと、孫娘の写真を見せてくれて『孫の婿になってほしい』と言うおじいさんたちもいる。田舎には若い人が少ないので僕たちが行くと皆歓迎してくれる」と話した。牛肉は、高級ブランド「横城韓牛(江原道横城産の肉牛)」の個体番号まで記載されていた。

 兄弟は最初から韓国野菜専門パスタ店を開こうと思っていた訳ではなかった。二人が韓国でレストランのオープンに向けて準備をしていたとき、最初にぶつかった問題が外国産の食材のレベルだった。弟の太さんは「正統イタリア料理を作るためには輸入食材を多く使わなければならないが、日本に比べて市場規模が小さいせいか韓国では新鮮な材料が手に入りにくい。そのため、いっそのこと『新鮮さ』を最高の価値として、純粋な韓国産の材料だけを追求することにした」と話した。そのときから兄弟の農村巡りが始まった。レストランの片側の壁には、韓国各地の生産農家の人たちと一緒に撮った写真がびっしりと貼られていた。太さんは「一皿のパスタの背景にこのような生産者がいて、季節ごとに訪ねて話をし、どのような考えや気持ちで農業を行っているのかを聞き、その話を僕たちの料理を食べるお客さんと共有する」と話した。日本式の立ち飲み居酒屋のように厨房を配置したのも特徴だ。

シン・ドンフン記者
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