「不毛地帯」 観てますか?
わたしは前回の「白い巨塔」さえ、観続けられなかったほうなんですけど、
今回はフジの「ついてこれるやつだけついてこい!」的な挑戦を受けて、
必死でくらいついて観ています。
そして、多分たくさんの音楽ファンをうならせたであろう、
エンディングのテーマ、ああもう、すごすぎる、
なんてったってトム・ウェイツですよ、
もの悲しいあのブルースが、唐沢さん演じる壱岐という男の人生と重なって、
ものすごい雪のシベリア凍土の画面とともに、心を湿らせています。
あのエンディング観るだけで泣けてしまう。
ドラマは、これからますます人生の不毛な袋小路に突き進んでいくようで、
いつも「ああ暗いドラマだ・・」と苦い気持ちを噛み締めながら見終わると、
いつもこのエンディングの吹雪とトムのしゃがれ声に
すべてが洗われて、無になって、
また切り替えた気持ちで来週を観ることができそうなかんじがします。
コステロと同じくして、トム・ウェイツも学生のときはまったなー。
和訳の歌詞カードがついたCDが出ているかどうかは知らないんですけど、
適当に訳してみました、記憶をたよりに・・・。
このサビに頻繁に出てくる「waltzing Mathilda」は、
オーストラリアかどっかの有名な民謡で、日本の「サクラサクラ」とか、
「メリーさんは羊」 とか、「おらは死んじまっただー」とか、
そんなかんじなくらい誰でも歌える歌のサビで、
「この今の気持ちをあらわすならオーストラリア風に
“おらは死んじまっただー”だぜ」
みたいなかんじで歌ってるんだと思います。
試合とかでやるそうですし、第二の国家くらいのものかと。
この ウォルツィング マチルダ の意味は
ホームレスの羊泥棒が逃亡の旅に出て、それが荷物ひとつ袋持ってりゃ
枕にもできるし、みたいな そんな歌で、
どこをどうして愛唱歌になったのか、ちょっとびっくりする歌ですが、
さまよい歩く とか ふらふら出てく みたいな意味なので
「もう どっか行っちまいてぇ」みたいな
ちょっと絶望的な意味合いに歌っているのかな と思います。
あ、訳は、私のつたないものなので
あってない箇所あるかもしれませんー。
「Tom Traubert's Blues」
Wasted and wounded, it ain't what the moon did,
I've got what I paid for now
See you tomorrow, hey Frank,
can I borrow a couple of bucks from you
To go waltzing Mathilda, waltzing Mathilda,
You'll go waltzing Mathilda with me
疲れ果てて、傷だらけだけど、
これは月のせいじゃない
今までの俺のツケってやつさ
また明日な。ああ、フランク 2、3ドル都合してくれないか
ああ、荷包み担いで旅に出たい、出て行っちまいたい、
おまえも一緒に旅に出ないか
I'm an innocent victim of a blinded alley
And I'm tired of all these soldiers here
No one speaks English, and everything's broken,
and my Stacys are soaking wet
To go waltzing Mathilda, waltzing Mathilda,
You'll go waltzing Mathilda with me
俺は暗闇に迷い込んだ無実の犠牲者だ。
ここの兵士たちにはうんざりしたよ
誰も英語喋れねぇし、何もかもぶっ壊れてるし、
俺の愛用の靴は中まで滲みちまった
ああ、荷包み担いで旅に出たい、出て行っちまいたい、
おまえも一緒に旅に出ないか
Now the dogs are barking and the taxi cab's parking
A lot they can do for me
I begged you to stab me, you tore my shirt open,
And I'm down on my knees tonight
Old Bushmill's I staggered, you'd bury the dagger
In your silhouette window light go
To go waltzing Mathilda, waltzing Mathilda,
You'll go waltzing Mathilda with me
ほら、犬は吠えてるし、タクシーが止まってやがる
やつらは俺のためにできることがあるのにさ
俺を刺してくれって頼んだら、
おまえは俺のシャツを破っちまうし。
だから「やめてくれ」って俺は土下座して頼んでる
オールド・ブッシュミルを飲みすぎて、俺はへべれけになっちまった
おまえに俺のナイフ埋められちまったな
窓の明かりにおまえのシルエットが映ってるんだ
ああ、荷包み担いで旅に出たい、出て行っちまいたい、
おまえも一緒に旅に出ないか
Now I lost my Saint Christopher now that I've kissed her
And the one-armed bandit knows
And the maverick Chinamen, and the cold-blooded signs,
And the girls down by the strip-tease shows, go
Waltzing Mathilda, waltzing Mathilda,
You'll go waltzing Mathilda with me
ああ、聖クリストファーの旅のご加護もなくしちまった
昔はあれにキスしていたんだけど
スロットマシーンがわけを知っているさ
一匹狼の中国人と冷血無比な看板
ストリップ小屋で働く少女たち
ああ、荷包み担いで旅に出たい、出て行っちまいたい、
おまえも一緒に旅に出ないか
No, I don't want your sympathy, the fugitives say
That the streets aren't for dreaming now
And manslaughter dragnets and the ghosts that sell memories,
They want a piece of the action anyhow
Go waltzing Mathilda, waltzing Mathilda,
You'll go waltzing Mathilda with me
やめろ、お前の同情なんかいらない
この街にはもうなんの夢もないといって、
やつらは亡命していっちまった。
殺人犯の捜査や、思い出を売り歩く幽霊
みんな何とかして自分の出番をもらいたがってる
ああ、荷包み担いで旅に出たい、出て行っちまいたい、
おまえも一緒に旅に出ないか
And you can ask any sailor, and the keys from the jailor,
And the old men in wheelchairs know
And Mathilda's the defendant, she killed about a hundred,
And she follows wherever you may go
Waltzing Mathilda, waltzing Mathilda,
You'll go waltzing Mathilda with me
水兵夫に頼んでみな、看守から鍵ももらえるだろうよ、
車椅子の爺さんたちならみんな知ってるぜ
あのマチルダが百人近く殺した被告人だってな
おまえがどこへ行こうとついてくるさ
ああ、荷包み担いで旅に出たい、出て行っちまいたい、
おまえも一緒に旅に出ないか
And it's a battered old suitcase to a hotel someplace,
And a wound that will never heal
No prima donna, the perfume is on an
Old shirt that is stained with blood and whiskey
And goodnight to the street sweepers,
the night watchmen flame keepers
And goodnight to Mathilda, too
そう、どこかのホテルに届けられた
壊れかけた古いスーツケース
一生癒されることのない傷
香水の香りに包まれたプリマドンナはどこにもいない
血とウイスキーの染みのついた古いシャツがあるだけ
さあ、道を往く清掃人に、お休みを
夜の警備人も、灯りの番の人もお休み
そしてマチルダ、あんたにも、お休み
いっぱい嫌なことがあって、もう俺の人生最悪ー みたいな歌かしら・・・。
私的には 中島みゆきの「悪女」をなぜか思い出すのよねー。
酔っ払いから抜け出せない とか 戦争が終わって
働く場所がなくなって希望がない とか そういう暗部にも聞こえます。
あのしゃがれ声、ほんとにすごい声ですよね。
よい週末の一曲になりますように
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英語が得意ではないので、当時は曲の内容は理解できてなかったけれど。
あなたの訳詞を読んで、バスキアにぴったりな曲だったなぁとうなづいてしまいました。
ドラマにも使われていたことをここで初めて知りました。
奥深い訳詞に感動して・・・。
いえいえ、ほんとにダメ訳で・・・。
読み返すとわけわかんないんですけど、
あのわかんなさ、言いっぱなしさがトムならではの気がするので、
あんまり意訳かけなかったんです、たしか。
いつ聞いても、違う歌詞になってたかんじがあるんですけど。
今も素敵なんですよねー、最近なにかで聞いたら、
まるで朗読だかシャンソンだかなかんじでしたけど、
それもまた、トムのあの声ならではで・・・。
でも、この曲はほんとに全盛期のあのキレたトムですよね。
フジに感謝でした。
またぜひぜひー。
僕もこのTomとこの曲が好きで、何度聴き返していることか
歌詞と シャガレ声と 午前3時のピアノの音色が、飾り気のないありのままの姿を映してる
晩年になったTomもさらに良いですよ◎
大変 素晴らしく 心に残りました
ありがとう
動画で観たことはあるんですけど、静岡はあれば
普通にテレビで流れるんでしょうかー。
静岡にセキセイインコの流通は多くなってるんだろうなー。
あんな可愛いのを観てたら、
絶対飼いたくなっちゃうと思うんですけど!!!
田宮さんは自殺されたんですよね、経済的な理由だったような。
わたしは彼をテレビでもほとんど見たことがないのですが、
息子さんが出てる「オーラの泉」を見た記憶があります。
名優は別人を演じて違う人生をいくつも経験していくことで、
命を燃やしてしまうのかもしれませんね。
強烈な迫力で、僕は怖かった。
昭和53~54年ごろにフジテレビで観てました。
その迫力の根源は、30年後の今日、田宮二郎をウイキペディアで検索して知りました。