福岡大女子寮火災:女子学生死亡 別部屋ストーブ原因?
毎日新聞 2012年12月22日 西部朝刊
福岡市城南区西片江にある福岡大学の指定女子寮「あしかり荘」が21日未明に全焼した火災は、電気ストーブの火がふとんなどに燃え移った失火の可能性が高いことが福岡県警早良署への取材で分かった。焼け跡から遺体で見つかった大学1年、川端麻友(まゆ)さん(19)の死因は、煙を吸ったことによる一酸化炭素中毒と判明。同署は、川端さんとは別の部屋が出火元とみて、詳しい原因を調べている。
同署によると、21日午前2時20分ごろに出火し、木造2階建て延べ約300平方メートルを全焼した。寮は4畳半の個室が1階に14室、2階に21室あり、このうちの1室が激しく燃えており、電気ストーブが使われていたという。福岡市消防局には寮から「ふとんが燃えている」との119番があった。
川端さんは廊下に倒れていたといい、逃げ遅れたとみられる。寮に住む2年の女子学生(20)も「息が苦しい」と訴えて病院に搬送されたが、軽症だった。
指定寮は、研修参加など福岡大の条件を満たして指定を受けた民間下宿。福岡大によると、指定寮は計23あり、全てエアコンを完備しているため暖房器具の持ち込みを禁じている。「あしかり荘」には学生33人と寮母1人が住み、出火当時は学生と寮母計32人がいた。【川上珠実、尾垣和幸】
◇期待の星、無言の帰宅−−島原出身・川端さん
川端さんは午後5時ごろ、家族らに伴われ、長崎県島原市の実家に無言の帰宅をした。フェリー船長をしている父吉弘さん(47)は勤務中に訃報を聞き、船を下りて駆け付けた。眠っているような娘の顔を見ながら「まだ受け止められない。早過ぎる」と声を絞り出した。
川端さんは福岡大スポーツ科学部で陸上競技部に所属。1日にあった第12回九州学生女子駅伝(島原学生駅伝)に1区で出場し、区間2位でつないで福岡大の2位に貢献した。川端さんを高校時代に指導した島原高校陸上部監督の羽山篤史教諭(32)は古里を走る川端さんを励ましたという。「故障していたけど『ベストを尽くす』と話していた。『家族が見てるぞ』と言ったのが最後の会話になった」と嘆いた。