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一箇所、注書きで補足を追加しました。(注2となっているところです)
豊作のために土壌改良をしよう
 今回は園芸などで土に必ず投入する堆肥などの土壌改良資材の類について考察したいと思う。

 園芸の世界では赤玉土(あるいは赤土)と腐葉土を7対3で混ぜた用土が基本中の基本とされる。この7対3で混ぜた用土をベースにして、育てる植物に合うように肥料をプラスしたり水はけをよくする資材だのをプラスしたりしてから使うわけだ。なんで腐葉土を加えるのかというと入れることによって植物の栽培に適した土が作られるからなんだ。簡単に言うと腐葉土のような有機質の含まれるものを土にいれると、この有機質が土中に住んでいるミミズやバクテリアなどの餌になる。この有機質をミミズやバクテリアが分解することによって、団粒構造といわれる適度に水はけがよくかつ適度に水持ちや肥料持ちのよい農業や園芸に適した土を作ってくれるんだ。これは化成肥料にはない効果なので栄養素としての肥料として化成肥料を使うにしても腐葉土やバーク堆肥、牛糞などを必ず加えるのが当たり前のようになっている。
 
 よく土壌改良に使われるものでファンタジー世界でも使えそうなものは次の通りである。

◎腐葉土………樹木の落ち葉などが醗酵・分解された土状の物。よい腐葉土は森に入ったときにする樹木の香りがする。腐葉土にするのに向いているのは落葉樹や広葉樹の葉っぱで、針葉樹は油分が多くて向いていないとされる。森に行けば手軽に手に入るけど他人の家の森や林で採っちゃダメですよ。都会だと試しに作るのは結構難しいかも。
 落ち葉を沢山集めて土嚢袋みたいなのに入れて雨に濡れないところにおいて重石でもしておけば作れるようです。ときどき葉っぱをかき混ぜるらしい。もちろん袋に入れずに野積みとかでも作成できます。昔の農家は野積みにしていたらしい。ただし今の日本では法律で規制されているのでブルーシートなどを使って水質汚染などを起こさないようにしないといけないですが。作成にかかる期間なのですが、葉っぱだけで他に醗酵を促進するようなものを入れないと腐葉土ができるまでに半年とか一年とかかなりの時間がかかるみたい。米糠とか鶏糞とか落ち葉と交互に入れると醗酵が早くなるようです。あと、裏山なんかを持っている人だったら、森や林に入ると白っぽいカビのいわゆる放線菌(注1)の生えた葉っぱの塊が見つかることがあるそうなのでそれを落ち葉に入れると菌が醗酵を手伝ってくれるのでよい腐葉土が作成できるらしい。

◎バーク堆肥…樹木の皮を適度に細かくカットして醗酵させたもの。腐葉土と同じようにして使う。使う分量もほぼ一緒。醗酵させるのに1年以上かかるらしい。腐葉土と同じで醗酵促進に米糠とか鶏糞を入れると良いらしい。

◎牛糞堆肥……牛糞にワラやおがくず、落ち葉などを入れて数ヶ月醗酵させて作る。牛を育てるのに与えた塩分が含まれている。糞系の堆肥や肥料は寄生虫の問題があるので作った野菜などは必ず加熱して食べるようにするとよい。中世風ファンタジーとかで生野菜のサラダははっきりいって回虫とかの寄生虫がやばいです。繊維質が少なくて土壌改良効果の期待値が少ない肥料に近いものは腐葉土やバーク堆肥と一緒に使ったりする。

◎ピートモス…主に寒いところの沼地に堆積したミズゴケや葦、スゲ、柳の葉などが泥炭化したもの。熱帯でも植物の遺骸からトロピカルピートというものができる場合がある。
 保水性や通気性があるため腐葉土などと同じく土壌改良目的で使用される。ピートモスは酸性のため酸性を好むとされるブルーベリーやさつきの栽培などによく使われる。現代では中性に調整したピートモスも販売されている。ミズゴケの多いピートモスは乾燥させてしまうと水をすわなくなってしまうので使用に注意がいる。
 主な産地はカナダなど北のほうの国。北海道でも取れる。ヨーロッパでもデンマークとかドイツとかフィンランドとかイギリスなど北のほうの国で取れる。ピートモスが自然に作成される速度というのはものすごく遅い(一年で1ミリとか2ミリらしい)のでやたらと採掘すると環境破壊になってしまう可能性がある。何でも炭酸ガスを大量に含んでいるのでやたらと採掘すると地球温暖化が進んでしまうらしい。ただ、中世ヨーロッパは小寒期があったりして寒かったらしい(注2)ので、ファンタジー世界でも温暖化万歳の可能性がなきにしもあらず。ヨーロッパでは大体300年くらい前から使っているらしい。泥炭なので燃料としても使われたりする。また、ピート香といってウィスキーの香り付けにも使う。

◎苦土石灰……鉱物のドロマイト(苦灰石、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの複塩。化学式ではCaMg(CO3)2)、またはドロマイトを焼成して作られる石灰肥料。色は灰色か白。石灰石と一緒に採掘されている。酸性土壌を植物の生育に適した弱酸性にするために使用する。堆肥や肥料を撒く前に使用する(肥料などと一緒に撒いてはいけません)。撒き過ぎないように注意すること。また、撒いた後で耕したほうがよい。土に混ぜてから大体2週間くらい経たないと種を蒔いたり苗を植えたりできない。消石灰に比べて使いやすい。

◎草木灰………草や木を灰にしたもの。カリウムと石灰分を含み土壌の酸度調節に使う。カリウムが含まれるので肥料としても使用する。

◎川砂…………粘土質の水はけの悪い土地なんかに入れる。挿し木の挿し床に使う。川砂は塩分がないので洗ってから使わなきゃいけない海砂に比べて使いやすい。(海砂だと洗っても塩分が残っている可能性もあるし) 山砂は塩分や粘土を含んでいたりするので川砂のほうが品質がいい。 

 上記が使いやすい代表的な土壌改良資材です。貝殻を砕いたのなどやカニがらなども土壌改良に使えなくはないけれど細かく砕くのが大変だと思うのでお勧めはしません。他にも何か忘れているかもしれないのでこれが抜けてるよというのがあったらぜひ教えてください。
(注1)放線菌……ほとんどの放線菌が絶対好気性で土壌中に生息することが多い。抗生物質を生産する菌が多い。落ち葉の下などを好み、堆肥醗酵にも関与していると考えられている。

(注2)中世ヨーロッパに小寒期が来たのは事実ですがずっと寒かったわけではないので補足します。寒かったのは14世紀半ばくらいから19世紀半ばにかけての話なので中世(一般的に5世紀から15世紀の間をいう)といっても後半です。実は中世の温暖期といって10世紀から14世紀半ばに小氷期に入るまでの間、ヨーロッパは温暖だったそうです。何でも温暖期はあのイギリスでブドウ栽培が行われていてワイン作りが盛んだったとか。現代より暖かい時期があったんですね。どちらかというと近世や近代のほうがずっと寒い時期が続いているんですね。とはいえ、小氷期(小寒期)になって急に寒くなって大変だったみたいです。百年戦争が行われていた1360年、エドワード三世がフランスに遠征中にものすごい寒波に襲われて馬に乗ったまま凍死した兵士がいるとか、鳩の卵大の霰混じりの嵐で死傷者多数であったとか。しかもこれ、真冬の話じゃなくて四月頃の話という恐ろしさ。ものすごい気候変動ですね。


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