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灌漑は大変だ
 農業で大事なのは土と水と光ということで今回は主に水について考察したいと思う。
 農業関連で水というと灌漑が思い浮かぶと思う。灌漑技術は農作物の生産性を飛躍的に高めてくれる。都市や国家の発展に水は欠かせないものであるため昔からいろいろな方法が行われてきた。例を挙げると、水車で水をくみ上げたり、ため池を作って水路で農地に水を供給したり、山に井戸を掘って掘り当てた地点から横穴を掘っていって平地に地下水を誘導するなどの方法がある。古代だとエジプトやメソポタミアで行われていたのが有名だ。エジプトはナイル川の氾濫を利用した灌漑農業、メソポタミアでは雪解け水などをため池に溜めて用水路で分配するタイプの灌漑農業を行っていたのだが、このうちメソポタミアの方は乾燥地だったため塩害を起こしてしまい文明が滅びてしまっている。灌漑は決して万能ではないのだ。現代でもアメリカや中国あたりで地下水のくみ上げすぎだとか、インドで灌漑農業が原因の塩害が起きているとかTVなどで記憶に新しい。
 良くファンタジーの舞台イメージとされる中世ヨーロッパはどうだったかというと灌漑らしい灌漑は行われていなかった。灌漑技術がなかったせいかもしれないが、ヨーロッパの雨水を利用した二圃式農業、三圃式農業などは塩害になりにくい農法でもあって、別に灌漑農業と比べて劣るものではなかったのではないかと自分は思っている。前回も書いたが緑肥や牧草の栽培や輪作は塩害予防になるのだ。灌漑を行って水を大量に使えばそのときの作物の生産は増えるかもしれないが塩害を起こしてしまうとその土地はほぼ使えなくなってしまう。塩害で農作物を作れなくなったらその地域の人々は飢えてしまうだろう。とはいえ雨水に頼った農業でも何とかなる気候だったヨーロッパと、乾燥地過ぎて灌漑農業をせざるを得なかったメソポタミアを一緒には出来ない気もするが。
 話は変わるが灌漑について調べるうちに少し古代や中世あたりの土木工事技術について興味がわいたのでちょっと調べてみた。古代の土木工事といえばエジプトのピラミッドが真っ先に思いつくと思う。アレは斜面を利用して石を積み上げていくといったものだが結構長いこと使われた技術だ。灌漑において平地でため池を作るのにも使われていたりする。黒色火薬が用いられるようになる前の鉱山などでは硬い岩盤を火で熱した後で水で冷やしてひびが入るようにして工事したり、大量の水を使って土を洗い流すようにして工事したりと結構頭を使って工事がされていて感心することしきりだ。工作機械がなくても人間って結構やるもんだなぁ。アルキメディアン・スクリューなんて現代でも使われている技術を使って坑道に溜まった水の排水なんかもしていたとか……。そもそも2000年前からそんな技術があったことがすごいなぁ。アルキメデス氏はすごいよ。あと、灌漑について山に井戸を掘って掘り当てた地点から横穴を掘っていって平地に地下水を誘導する方法があるって書いたけどその方法ってカナートっていわれる方法なんだけどあれもすごい技術だよね。しかもカナートってペルシア帝国が使ってた技術で紀元前800年ごろから使われていたといわれる古い技術なんだけど現代でもまだ利用している地域があるんだ。最初に思いついた人物は尊敬に値すると思う。
 それでもって本日のまとめは、技術万歳! 人間ってすごいってことでお終い。作品でこれらの技術を使った工事風景などを使いたい方については、このエッセイではさらっとしたことしか書いていないので個人でさらに追加して調べてください。きっと描写に深みが出ることでしょう。


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