内政物の農業といえば肥料
ファンタジー内政物といえば肥料を入れて生産量アップが定番の展開になってくる。なので今回は肥料について考察をしたいと思う。
肥料といえば、まずN(窒素)・P(リン酸)・K(加里)、この三大要素が含まれた肥料を使うのが基本になる。これらはそれぞれ、窒素は葉肥え、リン酸は花肥えあるいは実肥え、加里は根肥えといわれ各部位の生育に効果があるとされている。さらに肥料は有機肥料と化成肥料の2種類に大別される。化学工業が発達していないファンタジー世界で出てくる肥料というのはそのうちの有機肥料になるはずであるが、有機肥料というとどんなものが思い浮かんできますか? 牛糞? 鶏糞? 魚粕? 草木灰? 油粕? とりあえず良く使われる有機肥料について分かりやすく箇条書きで紹介することにします。
◎油粕…………菜種や大豆等の油を絞ったあとの粕。三大要素のすべてを含むが特に窒素(N)が多く含まれる。
◎草木灰………草や木を燃やした灰。加里(K)と石灰分を含む。石灰分が多く、アルカリ性が強いので施肥に注意が要る。
◎魚粕…………いわしなどから油を絞ったあとの粕を乾燥させて粉状にしたもの。
◎牛糞・豚糞
・鶏糞………動物の糞を醗酵させて乾燥させたもの。三大要素のすべてを含む。肥料としての効き目が強い順に鶏糞>豚糞>牛糞(同じ量に含まれるリン酸や加里の量はあまり変わらないが窒素の量が鶏糞と牛糞だと倍くらい違う)。鶏糞は即効性がある有機肥料とされる(ついでに鶏糞はアルカリ性の肥料である)。ファンタジー内政物では良く牛糞が肥料として出てくるが、現代の園芸書では牛糞や腐葉土を加えた上に化成肥料などを肥料として加えるように書かれていることが多い。牛糞は肥料効果の少ないものとされていて、含有される有機物による土壌改良効果を考えて加えるものとされているのだ。とはいえ他に化成肥料など存在しない世界では肥料として十分期待できるものだろう。
◎人糞…………下肥ともいう。肥溜めに溜めて良く醗酵させてから使う。日本の気候で夏場なら1~2週間、冬場なら3~4週間くらい醗酵期間がかかるらしい。もっと寒いところならばさらに長めに醗酵期間を取るようになるだろう。下肥は水で2~3倍に薄めて使うもののため、肥溜めの横に水を入れて薄めるための壷などを用意しておくこと。前に内政物を読んでいて薄める描写がなくて「アレ?」っと思ったことがある。塩分が含まれるので施肥すると酸性に片寄るらしい。
◎グアノ………海鳥やコウモリの糞の化石化したもの。南の島などで取れる。リン酸が多く含まれる。買うと高い、けっこうな高級肥料である。
◎緑肥…………クローバー・レンゲ草・燕麦・ルピナス(ルピナスは花が藤に似ていて可愛い)など、イネ科やマメ科の植物がよく緑肥とされている。青々としているうちに刈って草を細かくし干してから土に漉き込むと良い。緑肥が土の中で分解されてから作物を植えること。ちなみに分解されるまで3週間ぐらいかかる。
◎腐葉土………落葉樹や広葉樹などの葉がバクテリアやミミズなどにより分解されて土状になったものをいう。腐葉土は窒素が多い。現代の園芸では基本的に肥料としてより土壌改良効果を期待していれることが多い。
そのほか、肉骨粉があるが狂牛病が怖いので出すのはやめたほうがいいと思う。米ぬかなども有機肥料として使えるがヨーロッパのような世界設定だと少し変かもしれない。
それから施肥についてだが、何事も過ぎたるは及ばざるが如しで、肥料のやりすぎは水質汚染につながったり、肥料やけして植物の根が枯れたりするもとなのでほどほどでお願いします。植物によって肥料食いだったり、肥料に弱かったりするし、その土地がアルカリ性よりだったりすると肥料が効きすぎてしまう可能性があったりするので、施肥量についてそれなりに研究している描写などを入れると良いと思う。それと有機肥料は土壌に施して3週間くらい時間を置いて分解されてからでないと作物の種を蒔いたり出来ないので注意。また、現代園芸では有機肥料は元肥として植物を植える前の肥料として使うのがよいとされ、追肥は化成肥料が薦められていたりする。有機肥料を追肥にする場合はカビやすいので施肥後に土をかぶせるとよい。植物により追肥の時期などが違うがそこまでは記載しきれないので個々で確認するとよいと思う。
また、上記にあげた肥料のほかによく必要とされる成分としてCaやMgがある。石灰についてはヨーロッパなどをモデルにしたファンタジーの場合、乾燥地でアルカリ土壌の可能性があるので施肥に注意がいる。
内政物の農業としては見せどころになる部分なのでがんばって描写してください。
ぼかし肥料とかマニアックなのは書きませんでした。ぼかしをわざわざ作ったりする人って農家の人とか盆栽マニアとかでごく普通の人はそこまでやらないですし。
あと追記なんだけど、緑肥は刈った後、干すといいのですが干すのはカラカラになるまで干す必要はないです。1日、2日位天日干ししてシナっとしてきて嵩が減った程度で漉き込んで大丈夫です。クローバーやレンゲソウが緑肥として人気なのは刈ったあと細かく切る必要がほとんどないからというのがあると思う。燕麦やマリーゴールドなんかはセンチュウ対策になるんだけどはさみなどで細かくしてから漉き込まないといけないので。
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