(2012年11月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
オバマ米大統領は11月初旬に再選を決めるまで、2期目には中間層への増税を許さないと遊説のたびに約束していた。
■中間層への増税で経済は急減速
全面的な増税と巨額の歳出削減が発効するまで、あと1カ月程度。ホワイトハウスが明らかにしたのは、オバマ大統領は選挙戦と同じ中間層の脚本を使って、「財政の崖」を巡る協議で共和党に圧力をかけることだ。
議会とホワイトハウスは年末までに、新たな財政合意をまとめなければならない。合意できなければ、自動的な増税と歳出削減の組み合わせで、米国経済は2013年に6000億ドルの打撃を被る。このシナリオが現実になれば、新たな景気後退の引き金を引く可能性が高い。
ホワイトハウスは26日、感謝祭の休暇を終えて議会との協議を再開するのに合わせて報告書を発表。その中で、中間層向けの増税を回避できなければ来年の経済生産は急減すると警告した。
ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)と大統領経済諮問委員会(CEA)がまとめた報告書は、中間層の税率を引き上げれば個人消費が2000億ドル減少し、13年の国内総生産(GDP)成長率は1.4%下振れすると分析する。「経済理論と最近の経験」に従えば「(中間層の)増税はほぼすべて消費減少につながる」と断じた。
■「崖から落ちる可能性は60%程度」
オバマ大統領は、世帯年収が25万ドル超の上位2%の所得層ではジョージ・ブッシュ前大統領の減税措置を打ち切るよう議会に求めている。年収が25万ドル未満と定義される中間層は打ち切りを免れ、ブッシュ前大統領が10年前に議会を通過させた低税率を引き続き享受できるようにする。
財政の崖を巡る協議が失敗すれば、税率は全面的に上がる。ただし、共和党の一部議員は政府の歳入拡大問題に目を向け始めたものの、オバマ大統領と民主党の支持基盤の要求の柱である富裕層増税に同意する兆しは今のところほとんどない。
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