(2012年11月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ネピドーの国際空港に足を踏み入れると、ずらりと並んだチェックインカウンターで、スタイリッシュな制服を着た職員が持ち場に就いている。広い出発ロビーの照明は明るく、エアコンも効いて快適だ。ターミナルの床は見事に磨かれた大理石で、2人のパイロットと、昔から伝わるドレスをまとった若くて魅惑的なスチュワーデスがさっそうと歩いている。こんなターミナルがあれば、欧州のどの国の首都も、さぞかし立派に見えるだろう。
■ゴーストタウンのような都市
このモダンで豪華な施設にただ1つ足りないのは乗客の姿だ。
この空港は昨年12月、ゴーストタウンのような都市の端に造られた。都市自体も2005年11月まで公式には存在しなかった。ミャンマーを支配していた当時の将軍たちは、数年間の建設工事が終わった後、ヤンゴンの北200マイルの内陸部に新しい首都を建設したと出し抜けに発表した。政府の省庁は新首都にすぐに移転することになった。
シンガポールのチャンギ国際空港を手がけた企業が設計したネピドーの空港は、年間最大350万人の旅客をさばくことができる。だが、先日の午前中の出発便は計3便、その1つにチェックインした乗客はわずか11人だった。FMIエア・チャーターが運航するヤンゴン行きの便は、今年9月に就航したばかりだ。政府職員のほとんどは、まだ新しい首都とヤンゴンの間を5時間かけて車で移動している。
■軍事政権の置き土産
ミャンマー版ブラジリアといえる首都は、2011年まで20年近く軍事政権を率いた「上級大将」、タン・シュエ氏の置き土産だった。同氏は昨年3月に引退し、新憲法の下で選出された政府に権限を委譲した。軍部の権力を保つ狙いだった新憲法は、急速な民主化の引き金を引いた。検閲は姿を消し、政治犯も釈放された。新しい議会も開かれた。
西側との和解の印として、今月、米国大統領として初めてオバマ氏がミャンマーを訪問した。もっとも、軍事政権の壮大な遺産であるネピドーには立ち寄らなかったが。
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