(2012年11月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
「日本国債バブルの崩壊」を次の一大チャンスとにらむヘッジファンドが増えている。
日本では今年、大人用おむつの売り上げが子供用おむつを初めて上回った。これは日本が高齢化に直面していることを示す好例だ。弱気筋が今後数カ月で日本国債バブルが崩壊すると信じる要因の一つだ。
逆張りで人気が高い米ヘッジファンドのカイル・バス氏は、日本では何年間も国内総生産(GDP)比での公的債務残高が増大し、高齢化の進展や経常収支の悪化を機に、ついに転換点が迫っていると指摘する。
だが、これまでにも似たような状況はあった。日本売りを仕掛けるのはヘッジファンドの得意技だが、最も経験豊富なファンドでさえ4年連続で損失を出している。
これを皮肉るかのように、日本国債の利回りは今週、数年ぶりの水準に低下した。ソシエテ・ジェネラルのアナリストが述べた通り、日本国債の利回り上昇を期待するのは「虹を追いかける」ようなものだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「揺るぎない日本国債の吸収構造」を指摘。銀行には「日本国債の押し目買いの意欲が弱まる兆しはない」と明言する。
とはいえ、新たに立ち上がったファンドがこうした見方に沿うとは限らない。英オードリー・キャピタルで新設されたばかりの「日本売り」専門ファンドを運用するクリストファー・リグ氏は「状況は変化し始めている」と話す。
リグ氏の主張はバス氏ほど極端ではないが、12月16日の衆院選が変化のきっかけになると予測する。首相の座に就くとみられる自民党の安倍晋三総裁が「日銀に積極性を求めているのは明らかだ」と語る。
来春には日銀総裁と副総裁2人が交代する。安倍政権が誕生すれば日銀は金融緩和に積極的な「ハト派」に傾く可能性がある。そうなれば日銀は外債購入という量的緩和の新領域に踏み出す可能性が高いという。
その結果、日本国債の利回りが2%に上昇することもあり得るとリグ氏は予測する。弱気筋が予測する6~7%にはほど遠いが、日本売りのポジションをとるファンドが巨額の利益を得るには十分だ。
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