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大人のための数学勉強法
【後篇】 2012年9月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
永野裕之

数学ができる人の頭の中
――どんな問題も解ける10のアプローチ

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どんな問題も解ける「10のアプローチ」とは

 10のアプローチとは次のようなものです。

(1)次数を下げる
(2)周期性を見つける
(3)対称性を見つける
(4)逆を考える
(5)和よりも積を考える
(6)相対化する
(7)帰納的に思考実験する
(8)視覚化する
(9)同値変形を意識する
(10)ゴールからスタートをたどる

 数学ができる人は、問題を解こうとするときたいていこれらのアプローチを使います。

 「計算が複雑だな」
→「次数を下げられないか?」
「随分大きな数の計算だな」
→「周期性があるんじゃないか?」
「突然一般化するのは難しそうだ」
→「思考実験しよう!」

といった感じです。そしてこの「10のアプローチ」が威力を発揮するのは問題を解くときばかりではありません。数学ができる人は、未知の定理の証明や自分ができなかった問題の解法を見るとき、これらのアプローチのうち、どれを使っているかを明らかにしようとします。

 これができるようになると、定理の証明や解法において、今までは天から降ってきたかのようにしか思えなかった鮮烈な発想に理由があることがわかるようになります。そうなれば数学の天才たちが駆使した「論理」を追いかけられるようになります。

 『大人のための数学勉強法』では、問題を解くときに私がどのように原理・原則・定義にまで遡って問題を分解しているか、そしてどのように「10のアプローチ」の中からその問題に適したアプローチを使っていくかをできるだけ明文化することを試みました。

 本来であれば、その詳細をご説明したいところですが、ウェブ上でみっちりと数学の解説をするのは、まだまだ厳しいものがあります(笑)。ここでは、『大人のための数学勉強法』でご協力いただいた、きたみりゅうじさんのイラストとともに、そのポイントを簡単にまとめていきましょう。もちろん、本では実際の問題を解きながら詳細に解説していますので、ご参照いただければ幸いです。

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永野裕之(ながの ひろゆき)

1974年東京生まれ。暁星高等学校を経て東京大学理学部地球惑星物理学科卒。同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退。高校時代には数学オリンピックに出場したほか、広中平祐氏主催の「第12回数理の翼セミナー」に東京都代表として参加。現在、個別指導塾・永野数学塾の塾長を務める。大人にも開放された数学塾としてNHK、日本テレビ、日本経済新聞、ビジネス誌などから多数の取材を受ける。2011年には週刊東洋経済にて「数学に強い塾」として全国3校掲載の1つに選ばれた。プロの指揮者でもある。
URL:http://jyuku.donaldo-plan.com/


大人のための数学勉強法

社会人になっても数学を学びたい人のための『大人のための数学勉強法』がついに登場!
そのポイントは、徹底的なノートの活用と、どんな問題も解ける「10のアプローチ」を身に着けることにあるという。この連載では、きたみりゅうじ氏のイラストとともにその概略を解説する。

「大人のための数学勉強法」

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