ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
大人のための数学勉強法
【後篇】 2012年9月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
永野裕之

数学ができる人の頭の中
――どんな問題も解ける10のアプローチ

previous page
2
nextpage

 数学ができる人は、問題が難しければ難しいほど、その原理・原則・定義に戻っていきます。そして問題を細かく分解し、問題の本質を捉え、基本問題の集合として問題を解いていきます。

 拙著『大人のための数学勉強法』で「定理や公式の証明をする」という重要な勉強法を紹介しました。この姿勢を貫いて自分が使う定理や公式のすべてを証明できるようになっていれば、いつでも原理・原則・定義に戻ることができます。これは遠回りに思えるかも知れませんが、特に難問を解く際には最短距離であると言っても過言ではありません。

できる人は「基本的な考え方」を使っているだけ

 数学が得意な人で、解法を丸暗記してそれをあてはめて解いている人はいません。もちろん典型的な問題を、典型的な解法で解くことはあるでしょう。でも、それにしても解法を丸暗記しているのではなく、その解法の意味や背景にある「物語」をつかみ、誰かに好きな映画の話をするような感覚で解いています。

 私は自分が数学を教えるようになって、なぜ自分は数学の問題が解けるのかを考えました。解法を暗記しようとしたことはないし、そもそもどんなに既存の問題の解法を知っていたとしても、新傾向の問題が解ける理由にはなりません。

 自己分析の結果、私は自分が問題を解くとき、できあがった「解法」ではなく、そのずっと手前にあるいくつかの「基本的な考え方」を試したり、それらを組み合わせているに過ぎないことに気が付きました。そして、たくさんの生徒さんを教えているうちに、この「基本的な考え方」を知っているかどうかこそ、数学ができる人と数学ができない人の決定的な差であると確信したのです。

 ですから数学ができるようになるには数学の「基本的な考え方」をマスターすればよいのです。しかも、安心してください。その「基本的な考え方」=アプローチにはそんなにバリエーションがあるわけではなく、たったの10しかありません。

previous page
2
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
300万円で大家になって地方でブラブラ暮らす法

300万円で大家になって地方でブラブラ暮らす法

加藤 ひろゆき 著

定価(税込):1,575円   発行年月:2012年12月

<内容紹介>
首都圏への人口流入が進んでいるが、意外にもそこそこの地方都市のほうが快適に暮らせる。圧倒的に安い地価、適度なインフラの整備などから、世界の中でも地方の街は最も住みやすいといえる。ちょっと頑張って貯金をすれば、不動産物件も買え、そこからの収入で独立も十分可能。そんな楽しい生活を提案する1冊です。

本を購入する

DOLSpecial



underline
ダイヤモンド社の電子書籍



昨日のランキング
直近1時間のランキング

永野裕之(ながの ひろゆき)

1974年東京生まれ。暁星高等学校を経て東京大学理学部地球惑星物理学科卒。同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退。高校時代には数学オリンピックに出場したほか、広中平祐氏主催の「第12回数理の翼セミナー」に東京都代表として参加。現在、個別指導塾・永野数学塾の塾長を務める。大人にも開放された数学塾としてNHK、日本テレビ、日本経済新聞、ビジネス誌などから多数の取材を受ける。2011年には週刊東洋経済にて「数学に強い塾」として全国3校掲載の1つに選ばれた。プロの指揮者でもある。
URL:http://jyuku.donaldo-plan.com/


大人のための数学勉強法

社会人になっても数学を学びたい人のための『大人のための数学勉強法』がついに登場!
そのポイントは、徹底的なノートの活用と、どんな問題も解ける「10のアプローチ」を身に着けることにあるという。この連載では、きたみりゅうじ氏のイラストとともにその概略を解説する。

「大人のための数学勉強法」

⇒バックナンバー一覧