ブレーンがつくった基準を否定するナニワの借金王
橋下氏が採用していた大阪府の算定基準によれば、1000億円ほど赤字を減らしたことになるそうだ。しかし、国の算定基準では「(起債)許可団体転落」ということになる。
実は、橋下氏が採用しなかった国の(公債費比率の)算定基準をつくったのは、当時の竹中平蔵総務大臣だ。さらに竹中大臣秘書官室に机を置き在籍していた事実上のブレーンである高橋洋一氏と岸博幸氏の両名もその基準づくりに関わった可能性がある。彼らは今では大阪市の顧問や橋下氏のブレーンを担っている。橋下氏が自らの実績として府の財政健全化を主張したいのなら、自らのブレーンのつくった基準を否定することになってしまう。
このどちらの基準が正しいかは、読者の皆様に判断を委ねる。私はどちらでもいいと思っている。
ここで、大阪府政下において負債残高を史上最大値に更新した知事のことを「ナニワの借金王」と便宜上呼ぶことにする。現時点のナニワの借金王は橋下氏であり、このままいけば松井一郎・現大阪府知事(「大阪維新の会」幹事長)がその名前を襲名することになり、2代続けて「ナニワの借金王」が大阪維新の会から出ることになる。
ナニワの借金王・橋下氏はツイッターで「臨時財政対策債は地方交付税の一環」と述べ、私が「不勉強」なのでそれを知らないと指摘している。
余談ではあるが、私は本連載で「臨時財政対策債とは、府で発行しつつ、償還は地方交付税で行う。実質的には、地方交付税の前借りと考えてよい」と述べていることを一応明記しておく(※記事はこちら:http://president.jp/articles/-/5807)。もちろん「臨時財政対策債は地方交付税の一環」であるという認識でも構わない。
地方交付税とは、国が地方に渡しているお金。大阪府が目一杯に請求した地方交付税(とその一環である臨時財政対策債)を増やすことは、国の借金を増やすことにつながる。ナニワの借金王・橋下氏が「府の借金」を増やしていることは前述のように解釈によって議論が分かれたとしても、「借金」を増やしているのは議論の余地がない。