4日午前11時45分ごろ、岡山県鏡野町上斎原の日本原子力研究開発機構・人形峠環境技術センターの製錬転換施設3階の排気ダクトから水滴が漏れているのを従業員が見つけた。漏えい箇所は放射線が検出されてはならない非管理区域だが、水滴を調べたところ、微量の放射性物質が含まれていた。センターは「外部環境への影響や従業員の被ばくはない」としている。
センターによると、漏えいしていたのは放射線管理区域の空気を排出するステンレス製の排気ダクト(縦45センチ、横70センチ)の継ぎ手。一部が非管理区域の給気室の天井近くを通っており、床に縦10センチ、横20センチ程度のぬれ跡があった。昨年12月28日の点検では異常はなかったという。
測定の結果、1平方センチメートル当たり0・2ベクレルのアルファ線と0・34ベクレルのベータ線が確認された。原子力規制庁は、漏えいした放射能密度が国の基準値を下回ることから、INES(国際原子力・放射線事象評価尺度、最大レベル7)で、レベル0の「安全上重要でない事象」と評価した。
センターは「原因の究明とともに、それに対応した措置を行う」としている。
同施設は、ウラン濃縮に使う六フッ化ウランの製造施設として1981年に建設。99年に運転を停止し、2006年度から解体作業が行われている。
製錬転換施設では07年にも放射性物質を含む廃水の漏れた跡が見つかっている。
センターでは昨年12月12日に停電が発生。製錬転換施設など6施設に送電されず、排気設備が一時停止した。