浪江町増額要求へ 精神的賠償
東京電力福島第一原発事故により全町避難している浪江町は、東電が避難住民に支払っている精神的損害賠償の増額要求を、町が代理人になって原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)へ申し立てる準備を進めていることが30日、分かった。申し立てでは1人月額35万円の賠償を求める。
精神的損害賠償は国の中間指針に基づき、東電が長期の避難生活者へ1人月額10万円を目安に支払っている。
馬場有町長は「中間指針は交通事故の慰謝料が基準で、原発事故の深刻さを考えれば低過ぎると国や東電に改善を求めてきたが、らちが明かない。最高裁判例で交通事故でも月35万円の賠償がある。避難が長引くにつれて精神的苦痛が増し、震災関連死も目立つ。被ばくなどで将来の健康も不安だ。早期に解決するため町がまとめて申し立てることにした」と説明した。
町が代理人となるには町民の同意が必要なため、法的問題で町に協力している早稲田大などの法律専門家が同意書の原案を作っている。町民への聞き取り調査も参考にし、来年一月以降に同意書を配布できるよう準備している。申し立ては取りまとめによって流動的だが、今年度内を目標にしている。
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