プレリュードと駆けた日々 第46話 前兆
第46話 前兆〜 26歳 夏。 〜
(4ヶ月ぶりの更新です。ふぅ。)
またまた転勤で、今度は埼玉県の大宮に引っ越した。
結婚準備を進めることもあり、月に2・3回の週末は長野市へ帰っていた。
その度に高速道路を使って帰っていたのだが、
川崎にいたときよりは、埼玉と長野市の距離は近いし、
金銭的にも、時間的にも、体力的にも、ずいぶんと楽になった。
そうは言っても、そのたびにプレリュードで長野市とさいたま市を往復するのは
それなりに走行距離も進むし、プレリュードを酷使することになる。
しかし、相変わらずこのプレリュードは調子がよい。
そうは言っても、平成4年式だから10年落ちとなるのか。
メーターはついに10万キロを超えようとしている。
VTECエンジンはまったくもって元気だし、もしかしたら20万キロでも走破しそうだ。
給排気系は大事だからね。3〜5000km以内のオイル交換など、
日々の愛車精神のタマモノかもね!
愛車精神といえば、ヒマがあれば洗車をしていたなぁ。
ワックスも年に2〜3回はかけているし、
ボディはつるつるで、「ショールーム並みの輝き」とまではいかないまでも
ちっとも古さを感じさせない。
ミッション系も問題がない。
以前に間瀬サーキットを走った際に、無理矢理2速に入れようと、
荒っぽい操作をしたことがあった。
それ以来、時々2速への入りがスムーズでない場合があるが、
ほとんど気にならない。
強いて言うと、一度だけ、夏にエアコンがまったく効かなくなったことがある。
夏の京都をドライブしていたのだが、2枚の窓を全開にしたものの、
暑さはとてもじゃないけど、凌げたものではなかった。
3年前の夏のことだ。
このときは、エアコンの冷媒ガスが抜けてしまっていると
ディーラーで言われたので、ガスを入れてもらったら直った。
その再発は、突然やってきた。
その週末は、いつものように式場の準備や打ち合わせをするために
長野市に帰って時間を過ごしていた。
さいたま市への帰り道は、関越自動車道を使うのだが、
(当時)上信越自動車道は、片側1車線の対面通行になっており、
日曜日の夕方は渋滞が慢性的におこっていた。
だから、遅く帰るか早く帰るかのどちらかにしないと大変なことになる。
この日は、早く帰るパターンをとっていた。
トンネルの中で県境を超え、群馬県に入ったころに気が付いたのだが、
どうも、エアコンの効きが悪いような気がする。
というよりも効いていない。
いや、熱風が出てきている。(泣)
3年前の夏と一緒の症状だ・・
仕方がないから、窓を全開にして、冷たい空気を入れる。
そこに、あざ笑うかのような電光掲示板の文字が
4 鶴ヶ島まで2時間以上
3 所沢まで 3時間以上
1 練馬まで 3時間以上
_| ̄|○
暑い・・
レカロシートと密着した背中のTシャツは、汗でぐっしょり。
額や首まわりも、汗の雫がしたたり落ちてくる。
窓を全開にしていても、渋滞中では風が入ってこない。
暑い・・
ふと、横の車線のクルマを見ると、BMWが居た。
今までの「駆けた日々」のパターンからすると、ここでイベントの
ひとつやふたつは起きそうなものだが、
今回は無いよ。
しかし、このBMWを運転している男も、助手席の男も、
ドリンクホルダーに、アサヒスーパードライを置いている!
(冗談抜きで本当に。)
ドリンクホルダーに置いているだけでなく、リアルタイムに飲酒している!
なんて大胆な!
オレは思わず、口走っていた。
「いいなぁ!」
窓を開けていることを忘れているオレ。
どうも、聞こえたらしい。
BMWの運転手はオレに気が付くと、
缶ビールを掲げて、乾杯のポーズ。
今日のオレからすると、本気でうらやましかった。。。
ようやく、さいたま市に着いたオレは、その足でホンダベルノへ直行。
エアコンが効かない状況を説明すると、3年前に入れた冷媒のガスが、
また抜けてしまっている可能性が高いとのこと。
しかし、3年で抜けるとなると、ガスがどこからか漏れている可能性も否めず
エアコンの空気はエンジンルームで冷やされたあと、車両の下側を通ってから
ダッシュボードの吹き出し口に到達するが、その後、その空気を循環させているらしい。
よって、漏れている箇所を断定・修復するためには、車両全体をチェックしなくては
いけないようで、場合によっては10〜15万円コースになると言われた。
15万円は痛いなぁ・・・
じつは2ヵ月後に、車検を控えているのに(泣)
それで20〜25万だよね。
ついでに走行距離が10万キロを超えているから、
タイミングベルトやら諸々を交換して、さらに10万円以上。
トータルで50万円ですか。(T_T)
3ヵ月後に結婚式控えているのに・・
これは、何かのお告げだろうか。
結婚を契機に、大きな羽のプレリュードとはお別れをして、
彼女が乗っている軽自動車(ワゴンR)をアテにしたほうが良いのかな?
ワゴンRとプレリュードで駐車場2台というのも、決して経済的ではない。
それに、いずれ子供が出来たらクーペでは何かと不便もあるだろうし、
ワゴンRなら、チャイルドシートをつけるのにももってこいだし・・
家に帰ってから、アサヒスーパードライを飲みながら、自問自答したが、
やはり、プレリュードを手放したほうがよいのではないかという結論が、
オレの中で固まりつつあった。
今までの独身生活で、好き勝手にクルマに金や時間をかけてきたが、
これからは、二人での生活を中心に考えていくべきだろう。
人によっては子供が出来てもプレリュードに乗っている家庭はあるだろう。
だが、今回のオレのケースは、よいキッカケでもあったんじゃないだろうか。
これもまた、成長に伴う、自然な決断なのかもしれない。
人が聞けば、「なんだ、そんなこと」かもしれないが、
しかし、今日までのプレリュードと駆けてきた日々を思い返しているうちに、
自然と、悲しくなってきた。
マンションの駐車場に降り、プレリュードの前にあぐらをかいて座ったオレは、
2つめのスーパードライをあけた。