プレリュードと駆けた日々 第37話 初めての道が、好きだ
第37話 初めての道が、好きだ〜 23歳、春。 〜
久々の更新です。
なんか最近、少しずつではあるけれど、プレリュードと駆けた日々の反響があって、
少しプレッシャーです(笑)。
今回は、入社した直後の話。
オレが入社した会社は、某システム系グループ企業の地域会社。
[グループ企業名]テクノロジ[地域名]株式会社とか株式会社[グループ企業名]システムズ[地域名]とか
そんな企業名です。
正式名称は、例えるなら、ソニーテクニカ長野とか三菱ソフトウェア信州 みたいな感じの会社名です。
実際はぜんぜんソニーや三菱と関係ないけどね。
入社するとすぐに、新人研修期間が設けてあり、そのソニーテクニカ北海道やソニーテクニカ大阪などの
グループ会社新人社員が一同に介し、一箇所でまとめて研修を行います。
2ヶ月間も。
夜は新大阪のビジネスホテルにずーっと宿泊し、昼はオフィスビルにて外部講師を招いての研修。
社会人マナーとしての挨拶・名刺の渡し方に始まり、コンピュータの基礎知識から、
プログラミング言語研修、果ては企画提案能力育成のシミュレーションまで、
研修内容は深く広く多岐に渡る。
同じ志を持って入社した全国各地の仲間と共に、新しいことを学び、一緒に労をねぎらう。
詰め込む知識は多く、慣れない新しいコトを実践する毎日は、苦しくも楽しい日々だ。
ただいっこだけしっくりこないのは、
クルマが運転できないコトだ。
あー、なんか運転したくてうずうずしてきた。
夜や土日はヒマだしなぁ・・大阪の町ってよくわかんないし。
考えてみたら、20歳の時にプレリュードを買って以来、ほぼ毎日運転していたなぁ。
ドライブしたい病かもしれない・・
ホテルの従業員に聞いてみる。
ながせ:「すんません、このホテルの駐車場って、宿泊者の場合、一泊いくらですか?」
従業員:「宿泊いただいているお客様の場合、駐車場の料金はいただいておりません。」
「駐車場の料金はいただいておりません。」
「駐車場の料金はいただいておりません。」
「駐車場の料金はいただいておりません。」
「駐車場の料金はいただいておりません。」キター!!
早速次の長い休みを狙い、クルマを持ってきた。
研修が早く終わった夜や土日になると、新大阪のホテルを中心にあちこちでかけた。
目的地はどこでもよく、初めての道なら、どこでもいい。
大阪市内の筋という筋、
卒業旅行で滞在した京都方面の新しい道、
阪神大震災から復興した六甲や阪神方面、
古都・奈良へと続く阪奈方面。
ひたすらに走った。
その晩は、奈良方面に足を伸ばしていた。
第二阪奈有料道路と併走している国道308号線の上りを加速し、ぐいぐいと奈良方面へ進む。
プレリュードの2速・3速がぴったりくるコーナーは、アクセルを踏んでいて気持ちがいい。
久しぶりの全開グリップ走行を楽しんで、夜の東大寺や万葉植物園を散策。
大阪方面へ戻ろうと、福智院横の路地を走っていると・・
路地の下にある小川(というか用水路、というか堀というか・・)の中で、ハザードが光っているのが見えた。
????
シーマが用水路に落っこちている。
ガードレールが無いこの道路から、堀に向かってクルマが落ちたんだろうか?
堀の高さは2メートルほどあり、きつい土の斜面の下に水が流れている。
幸い堀はほとんど水が流れていないので、クルマのタイヤ程度しか、水に浸かっていない。
放っておけなかったので、プレリュードを脇に停め、土手から堀へ降りていった。
「おい!あんた、大丈夫かい?ケガは?」
「は、はい。自分は・・大丈夫です・・」
運転席と助手席から二十歳そこそこの男性二人が、情けない顔をして降りてきた。
友人同士がお父さんのクルマを借りて夜中のドライブをしていた、ってなトコだろう。
「まさか、クルマがこの斜面から落っこちたってことかい?」
「は、はい・・」
運転手は、かなり凹んでいるようだ。今風に言うと、かなりキョドっている。
ま、そりゃそうだよな。自分で運転していて、いきなり落っこちだんだろうな。
それでいてこの状況じゃ、自力でクルマを道に戻せないもんな・・
「シャシーはやられていない?」
「それは大丈夫そうです。ちょっとだけですが、クルマが動いたので。」
「そっか、ラッキーだったね。じゃ、ここから引き上げさえ出来りゃOKだね。」
「あのー・・こういう場合って、警察に言ったほうがいいんでしょうか?」
「別に相手がいることじゃないし、何か壊したわけでもないから、要らないんじゃない?それにきっと手続きめんどいよ。」
「じゃ、あのー・・クレーンで持ち上げる場合って、どのくらいするんでしょうか?」
「いやいや、オレはそういう相場は知らないな。あ、JAFにケータイで聞いてみれば?」
JAFの#8139のサービスがあることを教えると、
彼は問い合わせをしていたみたいだ。
「電話してみたんですけど・・なんか、夜は割り増し料金になるみたいなので、朝まで待ちます・・」
「ふーん。確かになんだか夜は高そうだもんね。じゃ、朝までどうすんの?」
「始発の電車を待って一旦帰ります。で、寝てからも一回来ます。」
なんか、この幸薄い青年が非常にかわいそうに思えてきて仕方が無かった。
「いいよ、家どこだい?送って行ってやるよ。出会ったのも何かの縁だし。
今日はあんた、ショックで疲れているだろう。今夜は休みな。」
あー、オレって通りがかりにしては、いい人すぎる!
「僕の家は○○って町で、この友達の家は▽△って町です。」
彼が口にした町は、大阪方面とはまるっきり逆方向の町だった。
オレが新大阪のホテルに戻ったのは、朝の5時。。。