プレリュードと駆けた日々 第34話 ひきかえ 前編
第34話 ひきかえ 前編〜 22歳、冬。 〜
就職が決まったよ。
たくさんの業界を見て廻ったけれど、結局、長野市の、とあるIT関連の企業に就職しました。
これでオレも春からは、はやりの言葉でいうところのSEってやつだね。
面接のときにパソコンの経験あるって嘘ついちゃったし、
そのくせ、なんか、世の中で流行っているWindowsって
やつさえもよくわからないけれど、ま、ノリでなんとかなるだろう!
内定式も終わってしばらく経ち、とある冬の日に会社から、
入社を前に、新入社員を対象に健康診断を行うという通知をもらったので、長野市に出向いた。
診断結果は、健康の太鼓判つき!
前途揚々だね!
同日、4月1日の入社式の案内文書をもらって、帰りました。
その日は会社のある長野市から、実家のある松本市へ帰ることにした。
距離にして、約80km。
現在の時刻は、15時過ぎ。
「知らない道を走ってみたい」スピリッツがオレの中で高ぶってきた。
長野市街地を走りながら、オレは頭の中で、だいたいの長野県の地図を用意した。
1で、王道どおりに国道19号線で帰ろうか?
2で、聖高原を越えるルート、通称「聖越え」で帰ろうか?
3で、四賀村経由で帰ろうか?
この日のオレは、何かが違っていた。
新しい道を開拓してみよう!
もしかしたら、今まで知らなかった新しい峠越えのルートを見つけることができるかもしれない。
2と3の中間くらいの位置になるだろうか?
オレは適当に松本市の方角だけを意識して、あとは適当に走っていた。
ひとつ、忘れていたことがあった。
ちょっと山あいの村に入ると、この時期の長野県の積雪はハンパじゃないってことだ。
前方には、山。
右も左も、雪が降り積もった田んぼや畑だらけの、一面の銀世界。
道はどんどん細くなっていく。
山に向かっていくクルマは、オレのプレリュード一台だけ。
対向車なんて、全然やってこない。
うーん、ちょっと不安になってきた。
でも、この道に入ってから、ずいぶんと走っちゃったもんなー。
引き返すの、面倒くさいしなー・・・
いよいよ本格的な山道に入っていく。
イメージとしては、「さだおばさん」とか「父ちゃんのトンネル」って絵本を書いている
原田泰司って作家がいるけれど、あの人が書くような「昔ながらのにっぽん」
ってような情景が、ずっと続いている。
時々、道のはじに、バス停があるのが見えけれど、時刻表を見ると、一日に3本くらいしかダイヤがないぞ?
あまりに不安なので、現在地を知りたくなってきた。
お!民家の庭先に・・
第一村人、発見!(おばあちゃんだ!)
オレ:「おばあちゃん!この道って、このまま行くと、どこに出るの?」
ばあちゃん:「はぇ?」
オレ:「この道って、このままずーっと行くと、どこに出るの?」
ばあちゃん:「あー、かなり行くと、はなれ村につながっているよ。」
どこだよ、それ!聞いたことないぞ!(/_;)
陽が、山の向こうに落ちかけている。
続く。