神話神話と歴史
| Episode18 | |
| エルフの森では大きな異変が起こっていた。 ヒューマンに大陸の覇権を奪われたエルフは、次第に自信を失くし、惰弱になっていった。 彼らは大陸に対する野心をすべて失い、森の中での平安な暮らしに落ち着きはじめていた。 この状況に不満を抱いたのは褐色のエルフ族だった。元々進歩的な性向を持っていた彼らは、禁じられている黒魔法を習得してでもヒューマンと戦い続けなければならないと主張した。だが、彼らの主張は、当然のごとく他のエルフの猛烈な反対にあう。 その最中で、あるヒューマン メイジが褐色のエルフに接近する。彼は大胆にも褐色のエルフの族長に近づいて話かけた。 「褐色のエルフの王よ、あなた方は力をお望みですね。しかし、あの惰弱なマーシュ エルフとその手下は、あなた方が強い力を持つことを恐れています。 あなた方が自分たちを攻撃しないか、もしくは不必要にヒューマンを刺激し、さらに大きな災難を呼び起こさないかと、そればかりを心配しているのです。 しかし、そんな惰弱な考えが今のエルフを作ったのです。」 「お前は誰だ、ヒューマンのメイジよ。そんな言葉で我々を眩惑しようというのか?」 「私の名は、ダスパリオン、一介のメイジに過ぎません。しかし、私にはあなた方が望んでいる力があるのです。私はあなた方がその力を持てるように、お手伝いすることが出来ます。 その代わりに、あなた方も私が望んでいるものをくださればいいのです。」 「お前が望んでいるもの?それは何だ?」 「それは、あなた方の若さ、すなわち不老長寿の秘法です。私がいくら魔法に精通してると言っても、結局はヒューマン。私の寿命は百年にもなりません。 ですから、褐色のエルフの王よ。我々は互いに望むものを与えることが出来るのです。」 ダスパリオンが持つ強力な黒魔法に魅了された褐色のエルフは彼の提案を受け入れ、ついに黒魔法を習得するようになった。 ダスパリオンも褐色のエルフから望んでいた情報を得て満足し、森を離れた。 エルフはこの事実を知り、アインハザードを捨てグランカインを追い始めた褐色のエルフを破門した。 こうしてエルフと褐色のエルフの間の戦闘が始まるのだが、この時、ダスパリオンのたくらみにより、褐色のエルフはマーシュ エルフを全滅させる恐ろしい呪文を使用することになる。 一方、マーシュ エルフは、息絶えるその瞬間に、最後の力を尽くして自分たちを裏切った褐色のエルフに呪いをかけた。 その結果、褐色のエルフの森は朽ち果て、褐色のエルフも暗闇の種族となってしまう。 それ以後、褐色のエルフはダーク エルフと呼ばれるようになるのだった。 | |