神話神話と歴史

 入れ替わった創造主Episode15   
長い戦争によって、ヒューマンの間には、原始的な形の国家が生まれ始めていた。
その中でも中心となるのは、エティナ族をはじめとする魔法を習得したヒューマンたちだった。彼らは、自分たちが持っている力で、人々を保護し、時には恐怖を与え、自分たちの王国を建国して行った。
この過程で大小さまざまな戦争が起こった。
しかし、混乱期はそう長くは続かなかった。結局、エティナ族の族長であったシュナイマンによって、現在のアデンとエルモア地方の統一が成されたのだった。
彼は自分が建てた帝国の名をエルモアデンと定め、自らを皇帝と称した。彼の祖父の頭に載せられていた枝の王冠は、ついに燦然と輝く宝石で飾られた金冠となり、彼の頭に載せられた。
彼は、後世に神と同等な存在と思われるほどになったのだった。

大帝国の皇帝となったシュナイマンは、ヒューマンの先天的限界に悩んだ。
死と破滅を象徴するグランカインが自分たちの創造主だという事実は、いつも他種族に対する劣等感として作用していた。
さらに、この世の他の種族を作った残りカスが自分たちを形作っているという神話は、そのまま受け入れるにはあまりにも恥辱だった。
新しい帝国のためには、彼らを尊いものとする新しい神話、新しい歴史が必要であった。
結局、シュナイマンは大々的な宗教改革を行い、グランカインの代わりにアインハザードをヒューマンの神とした。
神話と歴史は歪曲され、黒魔法とグランカインの信者は迫害を受けた。以後、何代にも及ぶ宗教改革は、最終的にアインハザードを善の神、グランカインを悪の神とし、ヒューマンはアインハザードを自分の創造主と考えるようになった。
この事実を知ったグランカインは、意外にも笑いながらこの事実を受け入れた。

「あの連中が私に仕えないと言っても、私は怒りはしない。
だが、愚かなヒューマンよ。天をいくら手で覆っても、その天がお前たちの手より小さいと思うのか?」
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