神話神話と歴史

 闇の中のたき火のそばで-エルモアデンEpisode14   
彼が話す歴史もまた、我々が知っている歴史とは違うものだった。しかし、我々はそれと似たような話をどこかで聞いたことがあった。
我々の一行で最も美しいエルフの娘、アルウェンは何に思いを馳せているのか、目に涙が光っていた。
男の言葉を聞いているうちに、夜は一層更けていった。しかし、どこからも獣の鳴き声は聞こえてこない。
風に揺れる木の枝の音も、渓谷を流れる小川のせせらぎも聞こえてはこない。
聞こえるのは荒々しい我々の息づかいと、たき火が燃える音だけ。
まるで、山全体が息をひそめ、たき火のそばから漏れてくる話に耳を傾けているようだった。

「どうかね。最も卑しいヒューマンが最後に大陸の主となったという事実は、あまりにも皮肉なことではないかね?
しかし、これはヒューマンの意志が作り出した結果。神々と言えども、まさかヒューマンが地上の支配者になろうとは想像だにしていなかっただろう。
では、今から最も燦然と輝いたヒューマンの王国についての話をしてやろう。傲慢な者たちよ、聞くがいい。
これが巨人の前轍を踏んだヒューマンの話だ。」
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